新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、リモートワークへの移行が進むにつれて、Zoomの社名は誰もが知っている名前になった。同社の第1四半期(4月30日締め)の業績もその状況を反映し、売上高は169%増加した。
同社は市場の予想を上回る業績を上げ、2021会計年度第1四半期の売上高は、前年同期比169%増の3億2820万ドルとなった。第1四半期末時点での従業員数が10人を超える顧客の数は約26万5400社だった。
また、同期の純利益は2700万ドル(1株あたり9セント)、非GAAPベースの1株あたり利益は20セントだった。
アナリストは非GAAPベースの1株あたり利益を9セントと予想していた。
今後の業績見通しについて、同社は第2四半期の売上高を4億9500万~5億ドル、非GAAPベースの1株あたり利益を44~46セントと予想している。また2021会計年度については、リモートワークソリューションに対する需要を考慮して、売上高を17億7000万~18億ドルと予想している。
Zoomは、2021会計年度の通年での非GAAPベース1株あたり利益を1.21~1.29ドルと見込んでいる。
同社の第2四半期売上高に対する業績見通しは、アナリスト予想(2億2380万ドル)の倍を大幅に超える数字になった。また、2021会計年度の売上高見通しも市場予想(9億3520万ドル)の約2倍となっている。
同社の株価は急上昇している。
Zoomによれば、直近12カ月間の売上高に10万ドル以上寄与した顧客が769社あるという。第1四半期の業績を見れば、同社のビジネスモデルが規模の拡大に対応できるものであることは明らかだ。
同社の最高経営責任者(CEO)Eric Yuan氏は、新型コロナウイルスによる自宅待機命令が解かれた後も、サービスの利用率は以前よりも上昇した水準にとどまっていると述べている。
Yuan氏は、業績発表カンファレンスコールで、Zoomのデータセンターではトラフィックの急増に設備増強が追いつかず、Amazon Web Services(AWS)から「必要とした新たなサービスの大半」を調達したと述べた。
Yuan氏は、「危機の中すぐに、当社の長期のパートナーであるAWSとCEOのAndy Jassy氏が、急速な需要の増加に対応できるようにしてくれた。需要が増加し、成長について見通しを立てることが難しい中、AWSは当社が必要とした新たなサービスの大半を用意し、素早く対応することができた」と説明した。
同社は4月にOracleとも契約を結んだと発表した。Yuan氏は、「Zoomに対する需要が増え続けたため、Oracleのクラウドでも多数のサーバーを用意した」と述べている。
Zoomの最高財務責任者(CFO)Kelly Steckelberg氏は、需要とクラウド経費の増加が売上総利益に悪影響を及ぼしたと説明した。Steckelberg氏は、「非GAAPベースの売上総利益率は、前年同期の80.9%、前期の84.2%から、69.4%に低下した」と述べている。3~4月にかけて小中学校にサービスを無償提供したことなどをはじめ、無料での利用が増えたことや、需要の急増に対応するためにパブリッククラウドプロバイダーを利用したことが原因だという。
同氏は、今後自社データセンターの設備を増強し、効率を高めていけば、数四半期以内には売上総利益率を70%台中頃まで戻せる可能性が高いと述べた。
またYuan氏は、第1四半期中にはセキュリティの問題が同社の評判に悪影響を及ぼしたが、この問題への対応にあたってメンターから支援を受けたと話した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。