チームワークは不可能を可能にする。しかし、メンバーが常に言い争っているようでは、それも簡単ではない。チーム内の緊張が高まると、職場は簡単に悪夢のような場所に変わってしまう。
メンバー同士が親友になる必要はないとしても、お互いにいがみ合い、言い争ってばかりでは、チームとして優れた結果を出すのは難しい。最高情報責任者(CIO)には、異なる意見を受け入れる土壌を持った、ビジネス上の課題に立ち向かって克服できる、協調性の高いチーム倫理を生み出す責任がある。
新型コロナウイルスの感染拡大で対人距離を確保することが求められている昨今では、同僚が何を考えているかを理解するのも以前より難しくなっているため、この問題は一層重要になっている。ではCIOは、どうすれば良好な労働環境を作れるのだろうか。この記事では、4人のCIOから、チーム内の意見対立に対処するためのベストプラクティスについて話を聞く。
1.誰でも意見を言える機会を作る
サセックス大学のITディレクターJason Oliver氏は、たとえどんな問題であっても、最善の対処法は正面から問題に向き合うことだと述べている。
「私はいつも、意見の対立から目を背けても意味がないと言っている」と同氏は言う。「オープンさと透明性、そして対話することが重要だ。必ずしも出てきた意見を受け入れる必要はない。また時には、自分が同意できない意見であっても、受け入れて引き下がらざるをえないこともあるだろう」
Oliver氏は長年の間に、何度も意見の対立に対処してきたと話す。同氏がビジネスリーダーとして学んだことの1つは、自分の意見がどこから来ているのかを、周囲に理解させることが重要だということだ。チームのメンバーは、上司がマネージャーとして下した判断の理由を知る必要がある。また、上司の側も、対話の中で自分の真意を伝えていく必要がある。
「私が得意としていることの1つは、それまで必ずしも効果的、効率的に動けていなかったチームの働き方を改革することだと思う。そのための基本は人であり、私はそれを、メンバーと対話することによって実現している」と同氏は言う。
Oliver氏がサセックス大学に移籍してから最初に行ったことの1つは、ITチームのメンバー130人と、毎週スタンドアップミーティングを始めたことだった。同氏はこのミーティングで、チームのメンバー全員に、その1週間に同氏が何をやっていたかを10分間で話すようにしている。同氏はその後に、メンバー全員が何でも質問できる機会を作っている。