Oracleは米国時間6月16日、2020会計年度第4四半期決算(5月31日締め)を発表した。明暗入り交じる内容となったこの決算について同社は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を大きく受けたホスピタリティー業界や小売業界など、特定の業界の顧客が購入を先送りにしていると述べた。
第4四半期の売上高は前年同期比6%減の104億ドル、非GAAPベースの純利益は38億ドル、1株あたり利益は前年同期比3%増の1.2ドルだった。
アナリストは売上高を106億7000万ドル、1株当たり利益を1.16ドルと予想していた。
通期では、売上高が1%減の391億ドル、非GAAPベースの純利益は127億ドル、1株あたり利益は9%増の3.85ドルとなった。
最高経営責任者(CEO)Safra Catz氏は声明で、第4四半期はクラウドインフラとクラウドアプリケーションの販売がいずれも好調だったことがけん引し、恒常通貨ベースで非GAAPの利益増につながったと述べた。第4四半期に「Fusion Cloud ERP Suite」は恒常通貨ベースで35%、「Fusion Cloud HCM Suite」は29%伸びたという。
またCatz氏は声明で、Oracleの全体的な事業は「パンデミックを考慮すると非常にうまくいった」と述べた。2020会計年度の1株あたり利益の伸びは恒常通貨ベースで3年連続の2桁成長となった。「当社がサービスを提供しているホスピタリティーや小売、運輸などの最も影響を大きく受けた業界の顧客が一部の購入を延期していなければ、より良い結果となっていただろう」としている。
第4四半期のクラウドサービスとライセンスサポートの売上高は前年同期比1%増の68億ドル、クラウドライセンスとオンプレミスライセンスの売上高は22%減の20億ドルだった。
またCatz氏はカンファレンスコールで、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)の成長にも触れ、OCIは「現在、インフラの議論で最も重要な部分となっている」と話した。
Oracleは同四半期、クラウドインフラの顧客として、8x8やZoomを含む著名な企業を複数獲得している。共同創業者で最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison氏によると、一部のサービスをOCIに移行し始めた8x8は「パフォーマンス向上の度合いに大きく驚いている」という。そして同氏は、8x8がさらに多くのワークロードをAmazon Web Services(AWS)からOracleに移行すると決めたことに触れ、クラウド事業の拡大に向けたOracleの動きを説明した。
Oracleはその移行を促すために、「Oracle Exadata Cloud@Customer」サービスの機能強化版を第4四半期にリリースしている。
Ellison氏は、「われわれは自社データベースの膨大なインストールベースをクラウドに移行していこうと考えている」とし、「その通りであれば、当社のインフラクラウド事業は非常に大きい。当社は地球上で最大規模の企業や政府なども含め、非常に多くのデータベース顧客を擁している」と述べた。
通期のクラウドサービスとライセンスサポートの売上高は前年比3%増の274億ドル、クラウドライセンスとオンプレミスライセンスの売上高は51億ドルだった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。