カスペルスキー、法人向け新製品「Sandbox」「EDR Optimum」を提供

渡邉利和

2020-06-19 09:23

 カスペルスキーは6月18日、2020年度の事業戦略と法人向け新製品を発表した。新製品は「Kaspersky Sandbox」と「Kaspersky Endpoint Detection and Response(EDR) Optimum」の2製品になる。

 代表取締役社長の藤岡健氏は、2019年度の業績についてコンシューマー事業で18%、法人事業で11%、全社では13%の成長だったと明かし、「2018年の実績を基準に、3年後の売上高を2.5倍にする」という社長就任時の目標達成に向けて「良いスタートが切れた1年だった」と振り返った。

2019年度の業績(全社)
2019年度の業績(全社)

 コンシューマービジネスについては、日本では引き続きパッケージ販売の比率が高いものの、ダウンロード販売も順調に成長しているという。法人事業では中堅中小企業(SMB)で12%、大企業で33%、法人事業全体で22%の成長だった。カテゴリーで見ると、エンドポイントが17%、非エンドポイントが46%となっており、さらに非エンドポイントの中では脅威インテリジェンスの事業が86%と大きく成長している点が注目される。

2019年度の業績(法人事業)
2019年度の業績(法人事業)

 さらに、直近の業績として2020年度上半期(1~5月)の状況についても説明。コロナ禍にあっても前年同期比で14%の堅調な伸びを示しているという。なお、コロナウイルスの影響として、コンシューマー事業でオンライン購入が加速した一方、法人事業ではIoT関連の組み込みビジネスとサブスクリプションビジネスが58%で大きく伸長した。

2020年1~5月のビジネス状況
2020年1~5月のビジネス状況

 藤岡氏は2020年度の重点施策として「セキュリティ対策の自動化・省力化の推進」「クラウドベースソリューションの推進」「脅威インテリジェンスサービスの浸透」「パートナーとのエコシステム強化」「日本市場対応の整備を加速」の5点を挙げた。

 続いて、マーケティングマネージャーの高木信光氏が、法人向け新製品であるSandboxとEDR Optimumについて説明した。まず、Sandboxは既存の法人向けエンドポイント保護製品「Kaspersky Endpoint Security for Business」と連携し、エンドポイントに不審なオブジェクトが侵入すると当該オブジェクトが自動的にSandboxへ送られ、挙動解析が行われる。

 高度なマルウェアでは、実行環境がサンドボックスであることを検知し、振る舞いを偽装するものも存在することから、Sandboxでは「スクロールやマウスクリックといったユーザーの操作をサンドボックスで再現することでサンドボックス内で実行されていることを気付かせない工夫が盛り込まれているという。

 EDR Optimumもまた、Endpoint Security for Businessと連係動作する製品で、「自動化されたEDR機能を提供」する点が特徴となる。エンドポイントからの情報を収集し、インシデントの可視化と迅速な対応を行う。セキュリティ専門チームによるSOC運営などが行われていない企業を想定し、分析から対応までのプロセスを可能な限り自動化するよう配慮されている。

SandboxとEDR Optimumの実装イメージ
SandboxとEDR Optimumの実装イメージ

 これまでも「Kaspersky Endpoint Detection and Response(KEDR)」というEDR製品を提供していたが、こちらは今後「Kaspersky EDR Expert」と名称変更された上で提供継続される予定。両社の位置付けの違いについて同氏は、「Optimumはエンドポイント保護製品やSandboxと統合されている点がポイントで、ITセキュリティの人的リソースが不足している組織向け、Expertは専門知識と人材を有する組織向けのスタンドアロンの強力なEDRツール」と説明し、対象が異なるとした。

 SandboxおよびEDR Optimumは7月13日にパートナー経由で提供が開始される。ライセンス価格は、Sandboxが最低63万5000円(新規1年1ライセンス2540円で、新規最低購入数が250ライセンス、税別)。別途、Endpoint Security for Businessの利用が必須。また、Sandboxの実行環境となる専用ハードウェアが必要。

 EDR Optimumのライセンスは、既存の「Kaspersky Endpoint Security for Business Select」「同Advanced」契約ユーザー向けにOptimumを追加する「アドオンライセンス」の場合は最低5万800円(新規1年1ライセンス5080円、新規最低購入数10ライセンス、税別)、Kaspersky Endpoint Security for Business AdvancedとOptimumが利用できる「Kaspersky EDR Optimumバンドル」ライセンスの場合は、最低22万200円(新規1年1ライセンス2万2020円、新規最低購入数10ライセンス、税別)となる。

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