電機メーカーとして82年の歴史を持つパイオニアは、カーエレクトロニクスを中心に、2000年代初頭は世界で初めて製品化したDVDレコーダーなどのホームエレクトロニクスでも急成長を遂げた。しかし、市場の競争激化とともに現在は経営再建を進めており、カーエレクトロニクスとデータ活用を通じた新たな成長に向けて変革の途上にある。4月1日に同社のチーフデジタルオフィサー(CDO:最高デジタル責任者)に就任した石戸亮氏に、変革の取り組みやこれからのパイオニアが目指す姿を聞いた。
同社では、2015年頃からクラウドを活用した情報サービスや運転支援サービスなども本格化させている。香港の投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの出資を受けて2019年に非上場会社となった。主力事業は、カーナビなどの車載器の市販やOEMを手掛ける「モビリティプロダクト」、石戸氏が参画する情報サービスの「モビリティサービス」、自動車技術開発などの「自動運転」、そして音響機器やPC周辺機器などを開発・生産する「その他」の4つがある。
--どのような領域を担当していますか。
私が所属するモビリティサービスカンパニーには、パイオニアのデータソリューション事業と、子会社でデジタル地図を提供しているインクリメントPなどがあります。複数の事業体をまたがっていますが、データソリューション事業では先進技術を利用した運転支援の「Intelligent Pilot」や営業用車両などの運行管理を支援する「ビークルアシスト」があり、主力になっています。インクリメントPは、パイオニアグループの社内ベンチャーとして設立され、25年にわたってパイオニアのカーナビに搭載する地図データを開発し、現在ではそのデータを外部にも提供するビジネスを手掛けています。
パイオニア モビリティサービスカンパニー チーフデジタルオフィサーの石戸亮氏
これらモビリティサービスカンパニーのビジネスを相木(取締役兼常務執行役員モビリティサービスカンパニーCEOの相木孝仁氏)が所管し、私はその下で組織横断的に活動しています。私には4つのミッションがあり、1つはハードウェアビジネスからサービスやデータ活用ビジネスへの変化を推進すること、もう1つはデータを活用したアクティベーションの拡大です。また、マーケティングコミュニケーションやコーポレートにおけるデジタルの活用と、生産性をより高めていくための働き方やツールの活用、チェンジマネジメントがあります。