ITマネージャーやITプロフェッショナルは、常にシステムやプロセスを近代化することを求められているが、周囲からそのために必要な支援を得られないことも多い。当然だが、IT部門がその仕事を独力で行うのは不可能だ。近代化には、単にアプリケーションをクラウドに移行する以上のことが必要であり、組織文化も変えていかなければならない。しかも、もっとも難しいのはその部分だ。
提供:Joe McKendrick
ThoughtWorksのAngela Bishop氏、Ashok Subramanian氏、Dilraj Aujla氏は、今こそ「『レガシーの近代化』に対する認識を改めて、『テクノロジー』や『更新』という観点から捉えるのをやめ、未来のビジネスについて再検討すべきだ」と呼びかけている。Bishop氏らは、最近投稿した一連の記事(第1部、第2部、第3部)の中で、そのためにはレガシーに対する考え方を変える必要があると説明している。この記事では、同氏らの6つの提案を紹介しよう。
複雑さと戦う。Bishop氏らは「複雑なシステムは、だんだん変化に時間がかかるようになる。それが原因で、組織の中に徐々に『連中とわれわれ』という自分たちとそれ以外の部門を分けて考える姿勢が表れ、事業部門とIT部門の間の隔たりが埋められない溝のように感じられ始める。これは通常、事業部門が単純だと思っていることが実はそうではないときに、不満を感じることが原因になっている」と述べている。意図しない複雑さ(この問題は技術的な負債の蓄積につながる)は、持続不可能なシステムを生み出す。同氏らは、「短期間であれば、優れたUXの裏にひどいコードを隠しておけることもあるが、欠点はすぐに表面化し、すぐに顧客が必要とするものを提供できなくなる」と述べ、企業に対して、「常にエンジニアリング文化を改善し続けて、コードの品質こそが、より新しく、より快適な製品を作る能力を向上させるという認識を持ち、そこに投資していくことに力を入れるべきだ」と呼びかけている。
プロジェクト単位の考え方から、継続的な改善へと考え方を切り替える。ソフトウェアは、常にパッチの適用や、アップグレード、ビルドなどの作業を必要とする。しかし、今のIT担当役員やITプロフェッショナルには、そうした日常業務以上のことに目を向けることが求められている。Bishop氏らは、「競争環境の変化や、消費者の行動やニーズの進化といった複雑さに対応していくのに加え、ソフトウェアだけでなく組織全体を常に進化させることが、最低限のこととして求められるようになっている」と述べ、「エンジニアリング的な観点から見れば、品質と自動化に力を入れる必要がある。なぜなら、これらはチームが自信を持って継続的デリバリーを導入できるようにするための基本的な構成要素だからだ」と続けている。またそのためには、「システムに変更を加える際には、変更しようとしている部分をモジュールとして扱えるのか(柔軟性があるか)、それとも他にも多くの変更が必要になり、それ自体が1つのプロジェクトになってしまうのか」を常に考えるべきだという。