サービスとしてのハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を提供し、メインストリームでの採用を加速させる取り組みを続けているHewlett Packard Enterprise(HPE)は米国時間12月9日、「HPE GreenLake cloud services for HPC」を発表した。
この新たなサービスは、従量制課金モデルを採用したクラウドを通じてHPCシステムを提供するというものだ。GreenLake Cloud Servicesの責任者であるKeith White氏によると、「企業は業務変革を実現できるワークロードに対する支援を求めている」ため、HPCはそのような企業の関心を集めているという。
GreenLakeは、HPEのあらゆる製品をサービスとして提供するという同社の取り組みにおけるハブに位置付けられる。
こうしたワークロードはたいていの場合、機械学習(ML)と人工知能(AI)に大きく依存している。HPEは業界に特化したHPC向けのユースケースに的を絞るため、SplunkやEpic Systemsなどの企業と提携してきていると、White氏は述べた。
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GreenLake cloud services for HPCによって、特定のワークロード向けに、HPCシステムをベースに各種のサービスをバンドル化した、フルマネージド型のサービスがもたらされる。このシステムにはソフトウェアやストレージ、ネットワーク機能が含まれるとともに、小規模/中規模/大規模オプションが用意される。また、このシステムを発注するためのセルフサービス型のポータルも用意される。HPC分野は、Dell TechnologiesやIBM、HPEをはじめとするデータセンターベンダーがメインストリームでの採用をめぐって戦う中で、大きな戦場となっている。
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HPEによると、このXaaS型の製品を用いることでHPCの配備スピードを最大75%高め、設備投資を最大40%削減できるという。企業はオンプレミスかコロケーションかにかかわらず、任意のデータセンター環境内にHPCサービスを配備できるようになり、顧客は利用した分だけを支払うことになる。
HPEでHPCおよびミッションクリティカルソリューション担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるPeter Ungaro氏によると、同社はHPE GreenLake cloud services for HPCを2021年春に提供開始し、その後サービスを拡大していく計画だという。
このシステムはまず「HPE Apollo Systems」をベースとしたものとなる。「Cray」をベースにしたコンピュートやソフトウェア、ストレージ、ネットワーキングソリューションなどのテクノロジーにも対応していく計画だという。このHPCサービスには、ワークロード管理やコンテナー、クラスターの管理、モニタリングのためのソフトウェアが含まれる。Ungaro氏は「『HPE GreenLake Central』によってHPCは、世界の最も難しい問題の解決にとどまらず、より多くのユースケースのためにずっと利用しやすいものになる」と述べるとともに、「われわれは、より小規模かつ低価格なユースケースにおけるメインストリームでの採用を加速させている」と述べた。
Ungaro氏によると、HPCの利用がメインストリームになるのは「システム規模を単一サーバーのレベルにまで縮小できるとともに、スーパーコンピューター並みのHPC処理をクラウドのような環境で稼働できる」ようになった時だという。
HPEのこのHPCサービスには、HPE GreenLake Centralと「HPE Self-service dashboard」「HPE Consumption Analytics」のほか、HPCワークロードをコンテナー化するための「HPC, AI & App Services」が含まれる。
さらに同社は、このサービスを実行できるコロケーション施設を提供するパートナー企業とともに、ActiveeonやCore Scientific、TheUberCloudといった独立系ソフトウェアベンダー(ISV)のネットワークを充実させていくと述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。