SAPジャパンは12月4日、記者会見を開催。以前から注力していた中堅中小企業向けビジネス戦略について新たな施策を解説した。
各業界トップ企業をパートナーとした業界内にエコシステムを構築するとともに、6月に発表した「インテリジェントエンタープライズ標準ソリューションモデル(Intelligent Enterprise Solution Model:i-EMS)」の中堅企業向けへの本格展開といった新規エコシステムも拡充させる。デジタルマーケティングの推進やデジタル基盤としてのクラウド型統合基幹業務システム(ERP)の推進もあわせて実施する。
SAPジャパン バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部 事業統括本部長 藤井善豪氏
バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部 事業統括本部長 藤井善豪氏は「われわれの強みは業務プロセスをブロック化し、組み合わせて新しいビジネスプロセスを提供している。あわせて各業界トップのお客さまが(ERPパッケージソフトウェア)『SAP ERP』を使っていただいている可能性が高い。この2つの強みを生かして各業界のリーダーをビジネスパートナーとして捉えて座組みし、中堅企業にサービスを提供していく」とビジネスモデルの概要を説明した。
現場のデータ入力が負担
SAPジャパンは2021年1月1日付けで営業体制を変更。売上高1000億円以下の中堅企業を新規製造、新規非製造、既存ERP顧客の3チームに分類、売上高100億円以下に対する中小企業向けチームを新設する。
その理由として同社は、中堅中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するための刷新が必要と説明した。ビジネス市場の大半を示す中堅中小企業は労働人口の減少やデジタル非活用に伴う生産性向上といった課題に直面しているが、グローバル顧客の8割強は中堅企業だという。その半分以上がビジネスアプリケーション群「SAP S/4HANA」を利用し、業務プロセスの最適化に努めているという。
中村土木建設 代表取締役 中村陽公氏
記者会見の中で映像メッセージに登場した、建設業の中村土木建設(愛知県東海市、従業員数108人) 代表取締役 中村陽公氏は多くの課題を抱えてきたと説明。「現場のデータ入力が負荷になっていた」と苦労を語った。
SAPジャパンは2月に小松製作所とNTTドコモ、オプティムとともに、経営管理や事務管理部門を接続する建設業向けERP「Landlog(ランドログ)」をリリース。中村土木建設はLandlogで現場の原価管理と経理の支払い業務を一体化し、労働生産性の向上を実現したという。SAPジャパンは、この他にも製造業界向け共通ERPなど、中堅中小企業向け業種別ERPの提供を予定している。