40日を25日に--ブラックラインなど、2021年3月期決算のフルリモート化目指す

阿久津良和

2020-07-28 06:45

 クラウドベースで経理や財務の業務を自動化できる「BlackLine」を提供するブラックラインは7月27日、テレワーク環境で決算業務を完結させるため、「リモート決算推進共同宣言」を発表した。2021年3月までに“リモート決算”実現を目指す。

 リモート決算推進共同宣言は同社のほかに、EY新日本有限責任監査法人、SAPジャパン、アビームコンサルティング、オープンテキスト、コンカー、ディスクロージャー・プロ、プロネクサスが参画。導入支援はアスタリスト、セゾン情報システムズ、日本IBMが担う。

 日本CFO協会 専務理事 谷口宏氏は「これまでの日本企業に欠落していた(システム上のデータを紙で印刷するなどの)業務を補完できる」と取り組みに賛同した。

ブラックライン 代表取締役社長 古濱淑子氏と参画企業。古濱氏は「賛同の意を示す企業があれば拡大していく」と参画をうながした
ブラックライン 代表取締役社長 古濱淑子氏と参画企業。古濱氏は「賛同の意を示す企業があれば拡大していく」と参画をうながした

 コロナ禍の影響でテレワークへの移行が進みつつある日本だが、いまだ押印や物品発送などを理由に出社を余儀なくされた方も少なくない。他方でコロナ禍の影響を大きく受けたのが企業の決算発表である。

 緊急事態宣言発令に伴い、旧態依然の業務プロセスは通用せず、多くの企業は株主総会の延期を余儀なくされた。東京証券取引所の「2020年3月期決算発表状況の集計結果について」によれば、2020年3月期決算所要平均日数は前年比1週間遅れの43.4日。業績予想を開示した企業は96.2%から43.64%(そのうちコロナ影響で非開示と回答した企業は54.1%、n=2333社)に低下した。

 日本CFO協会の「コロナ禍の経理・財務部門、人事部門の実態調査」によれば、決算のために出社した割合は10%が全員、38%が半数、3割以上が16%に上り、その多くが押印や郵送、社内会議といった要因を理由に挙げている。

 決算までの業務プロセスを大まかに分割すると、取引記録、決算処理、監査対応、決算書の作成と開示に分かれるものの、テレワークで決算業務を完結させる“リモート決算”の実現には、国税関係帳簿書類の全部もしくは一部のデータ保存を認める電子帳簿保存法に対応するとともに、データへの押印やサインを可能にする電子承認、決算プロセスの可視化や進捗管理、外部監査法人とのリモートコミュニケーションなど多くの壁が存在する。

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