2021年は変化の年になる。これはコロナ禍の収束に伴い、地域コミュニティが、消費者が、そして企業が「ニューノーマル(新たな常態)」を受け入れることになるためだ。
この変化の底流には、3つのプライバシーに関するトレンドがある。その3つとは、1)消費者や従業員から機密性の高い個人データを収集、処理、共有したいという企業の意欲が一層高まる、2)不況にもかかわらず、価値観重視の消費者が、倫理的な企業と取引し、自分のデータを預けたいと考える傾向が強まる、3)データプライバシーに関する規制やコンプラインスの複雑さがこれまで以上に増す、というものだ。
Forrester Researchは、2021年のこのような状況に対して、次のようなことが起こると予想している。
- 従業員のプライバシーに関連する規制当局の動きや法的措置の件数が100%増加する。企業は今後、新型コロナウイルス対応のため、また、働き手に関するアナリティクスや知見の改善のために、従業員のデータをより多く集めようとするようになる。Forrester Researchは、今後12カ月の間に規制当局の動きや法的措置の件数が倍増し、従業員データに対して慎重なアプローチ(従業員のプライバシーを尊重し、保護するアプローチ)を取らなかった企業はしっぺ返しを受けると予想している。企業は、従業員の個人情報の収集、処理、共有を伴う取り組みに適用する、「プライバシーバイデザイン」の考え方を取り入れたアプローチを策定する必要があるだろう。
- 最高マーケティング責任者(CMO)の4人に1人が、ゼロパーティーデータを収集するためのテクノロジーへの投資を増やすようになる。デジタル広告に大きな体系的変化が起ころうとしている。価値観を重視する顧客は、プライバシーを重視しデータを倫理的に取り扱う企業と自らの個人情報を共有するようになるだろう。その上、サードパーティークッキーが使えなくなることで、企業はリスクが高いサードパーティーデータに対する依存を減らし、顧客から直接データを収集せざるを得なくなっている。2021年には、CMOが自社のエコシステテムを戦略的に修正しはじめ、その25%がゼロパーティーデータの収集能力強化に取り組むと予想される。CMOは、セキュリティ、リスク、プライバシーを担当する役員と協力して適切な技術を選択し、自分たちの目的にあったプロセスを作り出さなければならないだろう。
- カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)2.0が通過したことで、米国で連邦法レベルのプライバシー法導入の動きに拍車が掛かる。今後12カ月の間に、米国のプライバシーに関する状況を揺さぶる重要な出来事が起こるだろう。カリフォルニア州プライバシー権法(CPRA)が可決されたことで、ようやく連邦法として超党派によるプライバシー法案が通過し、連邦政府に導入される可能性が出てきた。企業は、CPRAのどの側面が自分たちに影響を及ぼすかを確認し、国レベルの法制度が導入された際に自分たちのアプローチをどう修正するかを決定するために、常に米国内の立法状況に注意を払う必要がある。
2021年に重要なビジネスとテクノロジーのトレンドを把握するための、Forresterによる「2021 Predictions Guide」の電子ブックはダウンロード可能になっている。
本稿はForrester ResearchのシニアアナリストのEnza Iannopolloが執筆した。Forresterのサイトにオリジナルの記事がある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。