本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NTTデータ 代表取締役副社長 執行役員の藤原遠氏と、IIJ 代表取締役社長 COO(最高執行責任者)の勝栄二郎氏の発言を紹介する。
「デジタル社会に対応したデジタルガバメントの早期実現に貢献したい」
(NTTデータ 代表取締役副社長 執行役員の藤原遠氏)
NTTデータ 代表取締役副社長 執行役員の藤原遠氏
NTTデータは先頃、2020年度(2021年3月期)第3四半期(2020年10〜12月)の決算を発表した。藤原氏の冒頭の発言はオンラインでのその会見で、第3四半期に発表した「政府向けコミュニティークラウドサービス」について話題に挙げたものである。
藤原氏によると、2020年度における第3四半期までの連結業績は「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマイナス影響はあるものの、各セグメントとも順調な進ちょくであり、全社の通期業績予想を達成できる見通し」とのこと。詳細については発表サイトをご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言に関する話題を取り上げたい。
同社は2020年12月、政府情報システムのクラウド活用を推進するため、金融機関に求められる高い信頼性とセキュリティを備えるクラウドサービス「OpenCanvas」をベースとした政府向けのコミュニティークラウドサービス「OpenCanvas for Government」を、2021年2月より提供すると発表した。
OpenCanvas for Governmentは、クラウドの特徴であるコスト削減やアジリティー向上、スケーラビリティー確保の要件から高信頼/高可用性の要件まで幅広く対応することで、顧客に最適なプラットフォームを提供できるコミュニティークラウドサービスだとしている。
これまで、主に金融機関向けに提供してきたOpenCanvasをベースにすることで、金融機関や他社クラウドとの連携、先進的なデジタル技術を活用したマルチクラウドマネジメントサービス、顧客の個別要件への柔軟な対応を可能にするとともに、社会基盤を支える政府情報システムに求められる高度なセキュリティや運用品質を提供。これにより、官民連携やデジタル活用、運用コスト削減などの多様な顧客ニーズに応えるとともに、安全/安心にクラウドが利用可能となるという。
OpenCanvas for Governmentは、公共機関においてさまざまな民間クラウドサービスを、シームレスかつ安全/安心に活用できるマルチクラウドソリューション「Digital Community Platform」における基盤のラインアップに位置付けられており、Digital Community Platformと組み合わせても利用可能だ。
藤原氏は会見で図1を示しながら、「当社はこれまで多くの公共の仕事に携わってきたが、社会全体が大きく変わりつつある中で、当社が蓄積してきた知見を生かしながら、デジタルガバメントの早期実現にも大いに貢献していきたい」と力を込めた。
図1:NTTデータが提案するデジタルガバメントの概要(出典:NTTデータ)
マルチクラウドを前提とした同社ならではのサービスをどう広げていくか。注目していきたい。