IT分野のスキルギャップは大きくなる一方だ。企業のITに関する意思決定権者のほぼ全員が、過去1年の間に人材を得られず埋められなかったポストを少なくとも1つ以上抱えており、69%は複数のポストが埋まっていないと回答した。
当面の間は、それらの人材の穴を簡単に埋めることはできないだろう。しかし、新しい要素も浮かび上がってきている。コロナ禍への対応で在宅勤務が増え、上司が近くに座っていなくても仕事を効率的に進められることが明らかになったことだ。
多くのITプロフェッショナルは、この12カ月間で、在宅勤務でも生産性を維持できるだけでなく、期待以上の成果を上げられる場合もあることを証明した。
では最高情報責任者(CIO)は、どうすればこのリモートワークに対して新たに生まれた信頼を、自分たちが必要としている需要が高い技術者を見つける上で生かせるだろうか。この記事では、リモートワークを生かしてIT部門のスキルギャップを埋めることについて、4人のITリーダーから話を聞く。
在宅勤務への移行を進める
ロンドンスクールオブエコノミクスのCIOを務めるLaura Dawson氏は、コロナ禍の影響を受けて、自分たちの仕事のやり方は今後恒常的に変わると断言している。「今や限界はなくなった。私は本当にそう思っている」と同氏は言う。
Dawson氏は、同大学のIT部門では、80%のケースで(場合によっては100%のケースで)在宅でも十分に仕事ができ、生産的で平等に責任を分担し、協調的で社交的なチームのメンバーとして活動できていると話す。
Dawson氏は、CIOはこの変化を取り入れるべきであるとともに、在宅勤務の導入は普通なら見つけるのが難しいIT人材を獲得する手段にもなり得ると述べている。
「ロンドンで銀行と人材を争っても勝てる見込みはないが、これならチャンスがある。人材を見つけるのが難しいなら、ロンドンでだけ探すのではなく、英国のほかの地域の人材を採用すべきだ」と同氏は言う。
「新型コロナウイルスがこの変化を可能にした。私たちは今後、柔軟な働き方をするようになっていくだろう。職場に来られない人をサービスデスクの担当者に採用してはいけない理由は1つもない。この変化によって、就職希望者はこの職場にアクセスしやすくなるだろうし、それは大きな利点だ」