日本マイクロソフトは、ユーザー向けのバーチャルイベント「Azure Base Spring Fest 2021」を3月31日に開催した。
同社は、2020年10月からデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する「Azure Baseプロジェクト」を行っており、全国12カ所の施設とオンライン拠点「Virtual Azure Base」を展開してきた。今回のイベントは、ユーザーをVirtual Azure Baseに招待し、仮想空間の体験や各拠点の活動、Microsoft Azureの最新情報を披露する取り組みとなる。
日本マイクロソフト Azureビジネス本部長の田中啓之氏
イベントに登壇したAzureビジネス本部長の田中啓之氏は、「(DX支援サービスに類する)Windows Virtual DesktopやMicrosoft Teamsが短時間で成長した。アプリケーションやサーバー移行の領域では、コロナ禍により成長率が低下しつつも、今後は異なるビジネスに取り組むための新しいシステムが必要」などと述べつつ、既存アプリケーションのAzureへの移行、クラウドネイティブなアプリケーション開発と既存アプリケーションのモダナイズ、クラウド導入プロセスの標準化とCCoE(クラウドセンターオブエクセレンス)文化の醸成――で活用シナリオを継続して推進することを表明した。なお、Virtual Azure Baseは4月12日にグランドオープンを迎える。
日本マイクロソフト Azure ビジネス本部の森中彦人氏(下段左)や、スペシャルMCとしての声優の古谷徹氏(下段右)も参加した
イベントでは複数のセッションを通じて、Virtual Azure BaseやMicrosoft Azureの特長が紹介された。全国8拠点のAzure Base担当者がMicrosoft Teamsで参加した「全国Azure Base Summit」では、Azure Baseの概要から各拠点の特徴を質問形式で紹介。Azure Seaside BaseおよびAzure Yokkaichi Baseを展開するFIXERは「リラックスした環境でAzureの技術を学べる」、Azure Spporo Baseは「札幌イノベーションラボなども入居しているため産学官交流から刺激を得やすい」とアピールした。拠点同士のコラボレーションについても「伊勢と沖縄の間で人材交流を行い、研修を行っている」(EBI LAB)と連携状況や今後の展開が語られた。
インテル 執行役員 パートナー事業本部長の井田晶也氏
インテルの「データ・セントリック・トランスフォーメーションに向けて」では、同社が提唱するDcX(データセントリックトランスフォーメーション)の重要性を執行役員 パートナー事業本部長の井田晶也氏語った。DcXは、「DXをよりデータ中心に捉えて、データの価値を最大限に引き出して攻めのビジネスモデルを構築する」(井田氏)と、同社の造語である。「あらゆる企業が価値のあるデータを保持し、分野・部門を超えて連携するなど大胆な発想が必要になる。実際に取り組んでいる企業も少なくない」(井田氏)とDcXの重要性を強調した。同社と日本マイクロソフトの提携についても「多くの方はPCを想像されるが、クラウド分野でも強固な関係の元で展望を共有している」(井田氏)と強調した。
Microsoft Azureの新しいトピックでは、インフラ分野のセッションに、Ignite 2021 Springに登壇したMicrosoft CTO and Technical Fellow of Microsoft Azureの Mark Russinovich氏の内容が引用された。Microsoft Azureの主要リージョンは3カ所のAZ(アベイラブルゾーン)および別リージョンを設けて可用性を担保している。国内の東日本リージョンもその1つだが、Russinovich氏は、今後は既存リージョンおよび新規リージョンで3 AZを2021年中に実現することを表明した。
また、人工知能(AI)処理の自動化から自律化を目指すAIOpsの文脈では、データセンターに対して予測型および適応型の故障予防を施すプロジェクト「Narya」などを紹介。同社は過去1年間で仮想マシンの中断を26%軽減している。アプリケーション近代化の文脈ではMicrosoft Azureの利用状況として、「利用されるプログラム言語としてJavaは第2位、VMも50%以上がLinuxで動作している」(日本マイクロソフト Azureビジネス本部の金本泰裕氏)と説明しつつ、開発・実行環境としての優位性を強調した。
オンラインのラウンジには、日本マイクロソフト 執行役員 チーフラーニングオフィサー プロフェッショナルスキル開発本部長の伊藤かつら氏や、同社業務執行役員・エバンジェリストの西脇資哲氏も登場
データ分析の文脈では、オンプレミスからSaaSまでのデータ管理と統合・統制を行うデータ管理サービス「Azure Purview」、AIの文脈では、パスポートや運転免許証などからデータをクラウドに取り込む日本語を含む64言語に対応した「Form Recognizer」、深層学習で機械が生成する音声を円滑に読み上げる「Neural Voice」、セマンティッククラウド検索機能の「Azure Cognitive Search」を取り上げた。
この他にも、エッジAIプラットフォームを容易に構築する「Azure Percept」やMicrosoft Azureの各種支援プログラムを用意している。