インサイトテクノロジーは4月20日、2021年度の戦略説明会を開催した。代表取締役CEO(最高経営責任者)の森田俊哉氏が事業戦略を説明した。
同社は1995年、3人の日本オラクル出身の技術者が「Oracleパフォーマンスチューニングツール」を販売するために設立した。同製品の導入実績は、2000社以上、1万1000ライセンス以上に上る。
その他、データベース監査ツール「PISO」、過去のデータから将来を予測する「Insight Data Forecaster」、時系列データの変化検知サービス「Insight Anomaly Detector」などを展開してきた。Insight Anomaly Detectorは、固定のしきい値では発見できない複数データの相関変化や揺らぎを見つけるのが特徴だという。
インサイトテクノロジーは設立以来、自社で製品を開発したり、優れた海外製品を日本で提供したりと、「プロダクト」と「プロフェッショナルサービス」の提供に注力している。同社はデータベースのクラウド化が進んでいるといい、PISOなどの製品をクラウドに適応し、SaaS(Software as a Service)化していくことが必要だとしている。
また、クラウドインテグレーターのサーバーワークスと4月から協業している。インサイトテクノロジーは、Oracleから「Amazon Aurora」など異種データベースへの移行を100社以上行っているが、クラウド事業の経験が浅い。一方、サーバーワークスはオンプレミスからAmazon Web Services(AWS)クラウドへのインフラ移行支援を1000社以上手がけているが、データベース移行案件は限定的だという。そのため、この協業で双方の課題を補完することを図る。
両社は協業に当たり、6つのサービスを発表(図1)。例えば、AWSのデータベースへの移行におけるアセスメントや、移行計画策定から本番移行までの作業を行う「AWSへのデータベース移行」、クラウド化やデータベースソリューションの最適化によるコスト削減効果の検証/提案を行う「クラウドデータベースコスト削減コンサルティング」などがある。
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続いて、製品戦略について取締役CPO(最高製品責任者)の石川雅也氏が説明した。「われわれはオンプレミス中心のプロダクトを売ってきたが、提供形態をソリューションに移行することを考えている。ピンポイントの製品であるPISOなどは、そのままSaaSにするのではなく、お客さまが使いやすく、たくさんのシーンで利用できるものにしたい。今後は、エンタープライズ向けの企業マネジメントに関するワンストップソリューションとして提供していく」と石川氏は語った。
現時点で製品は個別に売っているが、今後数年かけて「クラウドデータベーステスト管理」「DataOpsfor DX」「データベースセキュリティ」という3つのソリューションに集約する。
クラウドデータベーステスト管理では、クラウドRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)のテスト作業全体を効率化/半自動化する製品を提供する。これにより、度々行われるクラウドRDBMSのメジャー/マイナーバージョンアップに伴うコストや、オンプレミスからデータベースを移行する際の作業コストを削減する。
DataOpsfor DXでは、データを複製する、データウェアハウス/データレイクを構築するといったことだけでなく、その前後にあるガバナンスやデータプレパレーション、ビジュアライズなども含めて提供する。
データベースセキュリティでは、近年データの活用が重要視される中、情報漏えいのリスクも増大するとし、個々の製品を組み合わせてソリューション化し、提供する。