Oracleは米国時間5月25日、同社初となるArmベースのコンピュートサービス「OCI Ampere A1 Compute」が「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)上で利用可能になったと発表した。
Oracleはサービス提供に加え、Armベースのアプリケーション開発を支援すべく、オープンソースおよびCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)コミュニティーと協力していく。また、無償枠を通じてこの新たなArmインスタンスを提供するとともに、「Arm Accelerator」プログラムにより無償枠を拡充していく。
この新インスタンスは1コア当たり1時間1セント(約1.1円)という低い価格が設定されており、Oracleは他のx86インスタンスと比較してもコア当たりで最も価格対性能比に優れていると述べている。さらに同社は、さまざまな仮想マシン(VM)サイズを提供している。これにより顧客はArmに最適化されたアプリケーションをコンテナーやベアメタルサーバー、OCI上、あるいは「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」上のVMに配備できるようになる。
今回のローンチによって、Armのパートナーリストに新たにOracleが書き加えられることになる。これらパートナーによって、専門的な処理がクラウドやHPCをはじめとするさまざまな領域にもたらされる。
Oracleでコンピュート担当シニアバイスプレジデントを務めるBev Crair氏は米ZDNetに対して、「Armはモバイル分野やIoT分野で極めて高いシェアを誇っており、現在ではサーバーサイドコンピューティング分野で発展していく準備が整っているとともに、そういったことが可能な変曲点に位置している」と語った。
そしてCrair氏は「Armの真の性能を活用できるサーバーサイド環境にアプリケーション開発者を引き込もうとすれば、Armのエコシステムに投資する必要がある」と続けた。
その点において、A1インスタンス上でOracleの開発スタックが利用可能となっている。このスタックには「Oracle Linux」やJava、MySQL、GraalVM、「Oracle Container Engine for Kubernetes」(OKE)サービスが含まれている。またOracleは「Oracle Linux Cloud Developer」イメージを用意しており、顧客はこれを利用することで、全てのOCIクライアントツールを含む開発環境をインストール、構成、起動できるようになる。
またOracleは、開発者らのお気に入りツールを利用可能にしている。例を挙げると、「Oracle Cloud」を使用しているチームは「Deploy to Oracle Coud」(Oracle Cloudへのデプロイ)ボタンを押すことで、GitLabやGitHub、Jenkinsによるデプロイを容易に実現できるようになる。さらに同社は、オープンソースのCI/CDプロジェクトをサポートする、ベンダー中立なオープンソースのコミュニティーであるContinuous Delivery Foundation(CDF)への参加を発表した。
開発者らはA1インスタンスの利用に際して、「Oracle Cloud Free Tier」の選択により30日間で300ドル(約3万3000円)の無償クレジットを受け取ることができる。また「Always Free Arm」により、開発者らは4つのA1コアと24GBのメモリーにアクセスできる。さらに新しいArm Acceleratorプログラムによって12カ月間のOracle Cloudクレジットが提供される。
さらにCrair氏は、HPCの分野でArmに関する進展で興味深いことが起きていると話した。例えば、ブリストル大学はOracleのAmpere A1インスタンスの初期アクセスを利用し、HPCのワークロードをスケールさせているという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。