Hewlett Packard Enterprise(HPE)のオンラインイベントで、同社とGeneral Moters(GM)のCEO(最高経営責任者)が対談を行った。その内容が興味深かったので、今回はこの話を取り上げたい。
DXの取り組みで大事なのは「企業文化」と「現場力」
![写真1:対談を行うHPE CEOのAntonio Neri氏(左)とGM CEOのMary Barra氏(右)](/storage/2021/07/01/620864ca914be10de12cbee705062f40/sp_13matsuokaopinion_210701_1.jpg)
写真1:対談を行うHPE CEOのAntonio Neri氏(左)とGM CEOのMary Barra氏(右)
HPEが先頃オンラインで開催した年次イベント「HPE Discover 2021」の基調講演で、同社CEOのAntonio Neri(アントニオ・ネリ)氏と、GM CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏が、デジタルトランスフォーメーション(DX)やDXを推進するリーダーの役割、仕事への姿勢をテーマに対談を行った(写真1)。
Neri氏の基調講演の中で、HPEの顧客でもあるGMのBarra氏がゲスト出演した形だ。講演全体の内容については関連記事を参照していただくとして、ここでは両氏の対談の内容に注目したい。
Neri氏は講演の中で、さまざまな分野でDXの取り組みが行われていることに触れた上で、GMのBarra氏を紹介し、自動車分野でのDXの取り組みから語り合った。
以下、両氏のやりとりを対話形式で記しておく。
Neri氏:GMは自動車のトランスフォーメーションにおいて業界をリードしているが、どのように取り組んでいるのか。
Barra氏:自動車業界は今、歴史的な変革期にあり、コネクテッドカーや電気自動車(EV)の開発に注力している。特にコネクテッドカーは、ICT端末としての機能を持つ自動車のことで、車両の状態や交通状況などのさまざまなデータをセンサーから取得し、ネットワークを介して集積し分析することにより、新たな価値を生み出せると期待されている。
自動車はハードウェアもさることながら、これからはソフトウェアが非常に重要な役割を担う。言い換えると、これからの自動車は「ソフトウェアプラットフォーム」との捉え方が必要だ。GMはそうした自動車のトランスフォーメーションにおいて業界をリードしていく存在であり続けたい。
Neri氏:企業としてのDXの取り組みで大事なポイントは何だとお考えか。
Barra氏:「企業文化」と「現場力」だ。企業文化として大事なのは、組織として風通しがよく、さまざまなことに対して従業員の誰もが遠慮無く発言でき、気持ちよく仕事ができる環境を作ることだと考えている。
また、現場力については、これからソフトウェアプラットフォームづくりを推進していく中で、顧客の要望を直接聞くことができる現場のノウハウをどれだけ反映できるかが重要なポイントになる。その意味ではテクノロジーチームだけでなく、現場でもソフトウェアスキルを高めていくことが、これから求められるようになるだろう。