キヤノンMJ、セキュリティソフト「イーセット」の商品構成を大幅変更

國谷武史 (編集部)

2021-07-01 13:58

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は7月1日、同社が日本総販売元として提供しているスロバキアのセキュリティソフト「ESET(イーセット)」の法人向け製品の構成と名称を変更すると発表した。

 従来は、マルウェア対策機能の「ESET ENDPOINT PROTECTION」(スタンダード版、アドバンスド版)を基本に、オプション機能(サンドボックス、クラウド管理コンソール、HDD暗号化など)を組み合わせて購入する仕組みだった。今後は、各種機能をパッケージ化した「ESET PROTECT ソリューション」に改称の上で、人員規模と管理ツールの稼働環境に合わせた商品構成を選ぶ。

 同日の記者発表会でセキュリティソリューション企画本部長の山本昇氏は、働き方改革やコロナ禍のテレワークで、PCなどエンドポイント機器とクラウドアプリケーションを在宅勤務などに使うようになり、VPN製品やリモートデスクトッププロトコルの脆弱性を悪用したサイバー攻撃も増えているなど、セキュリティ対策を変化させる必要があると説明した。

 また、同社のビジネスモデルを従来の「境界防御」型セキュリティ製品の物販を中心としたものから、今後は「ゼロトラスト」型製品を含むセキュリティサービスの提供に変更するという。4月に公表した中期経営計画の中では、今後3年間にセキュリティ事業の売上高を100億円増やす。今回の変更は、この計画の一環とした。

キヤノンマーケティングジャパンの中期経営計画におけるセキュリティビジネスの事業計画
キヤノンマーケティングジャパンの中期経営計画におけるセキュリティビジネスの事業計画

 山本氏は、「ESET製品を日本で18年間展開している。キヤノンMJが持つ全国の営業網と、グループ企業のキヤノンITソリューションズの技術を組み合わせて顧客の安全を支える」と述べた。

 セキュリティソリューション商品企画部長の輿水直貴氏によれば、今回は商品構成と名称の変更になり、製品や機能自体の変更はない。現在は会社の外でPCの業務利用が増え、企業の通信回線よりもセキュリティ対策が手薄な自宅のインターネット回線を使うことによるマルウェア感染の危険性、社外にあるPCの盗難・紛失による情報漏えいの危険性の高まりが課題だとする。このため従来はオプションだった機能を新しい商品パッケージとして取り込むことで、ユーザーがこれらの課題解決をリーズナブルに進められるようにしたという。

 新商品構成の「ESET PROTECT ソリューション」では、従業員100人以上と同99人以下の2つに分けており、顧客は自社の人員規模に応じたメニューと、セキュリティ管理ツールをクラウドサービス版にするか、オンプレミスソフト版にするか選択する。ラインアップは全8種類でこのうち2種類は従来製品を改称したもの。また、従業員100人以上が対象の最上位メニューではMicrosoft 365に対応するメールとファイルのマルウェア対策機能を新たに加えている。

従来のESET製品構成
従来のESET製品構成
変更後のESET製品の基本的な構成
変更後のESET製品の基本的な構成
ラインアップは新設メニュー6種類と従来メニューから改称した2種類の合計8種類
ラインアップは新設メニュー6種類と従来メニューから改称した2種類の合計8種類

 輿水氏は、IDC Japanの市場調査を引用し、ESETが2019年に国内PC向けウイルス対策製品市場でシェア12%の第3位だったと紹介。今回の変更により2023年までに法人向け市場でシェア2位を獲得すると述べた。

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