HRM、HCM、HRテックといえば、これまで人事管理を表す言葉として使われてきたが、SAPが新たに「HXM」を掲げ、その戦略展開に注力している。単なる言葉遣いの違いだけではなく、そこにはこの分野の進化をうかがうことができるようだ。とはいえ、この新語、果たして広く受け入れられるか。
HXMは「人と会社をつなぐ人材マネジメントの新しい考え方」
SAPジャパンが先頃、「HXM事業のアップデート」についてオンラインで記者説明会を開いた。会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、本稿では「HXM」という言葉に注目したい。
HXMとは、SAPが今後の人事管理の在り方を示した「Human eXperience Management」の略語である。
同社が推進するHXM事業とは、クラウド人事システム「SAP SuccessFactors」と従業員エンゲージメントシステム「Qualtrics EmployeeXM」を中核としたソリューションの展開を指す。
これによって取り組むHXMとは、「従業員のフィードバックと従来の人事管理の業務データを組み合わせ、従業員の想いやその潜在的な理由を掘り起こし、従業員の活性化を図ることで企業の継続的な成長を可能にする」ことを目指している。
写真1:SAPジャパン バイスプレジデント 人事・人財ソリューション事業本部 本部長の稲垣利明氏(今回の会見にて)
SAPジャパンがこのHXM事業を展開するに当たって、今回と同じように記者会見を開いたのはおよそ1年前の2020年5月のことだ(写真1)。
前回に続いて今回も会見で説明に立った同社 バイスプレジデント 人事・人財ソリューション事業本部 本部長の稲垣利明氏によると、この1年ほどで収集した顧客企業からの声を基に、人材マネジメント改革に取り組むことで見えてきた課題を挙げてみたところ、図1に示すような点が浮き彫りになったという。
図1:人材マネジメントにおける課題(出典:SAPジャパン)
こうした課題を解消すべくSAPとしては図2に示す発想を基に、「人と会社をデジタルでつなぐ人材マネジメントの新しい考え方であるHXMへの取り組みを、今後も多くのお客さまにお薦めしていく」(稲垣氏)構えだ。
図2:HXMの考え方(出典:SAPジャパン)