SAPジャパンは6月28日、同社のHXM(ヒューマンエクスペリエンスマネジメント)事業の最新動向について説明会を開催した。HXMとは、従来の人事管理に関するデータと、人材の発掘やトレーニング、フィードバックを組み合わせ、従業員の思いやその理由を把握することで、エンゲージメントやモチベーションを高めるソリューション。
説明会に登壇したバイスプレジデント 人事・人材ソリューション事業本部 本部長の稲垣利明氏は、「企業が経営目標を達成するには、人事戦略だけでなく、従業員の気持ちを知ることも重要となる。これまでは経験や勘に頼るしかなかったが、最近はテクノロジーを活用して全体の状況を把握することができる。HXMとは、企業と人をデジタルでつなぐ考え方である」と説明した(図1)。
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同社のHXMでは、クラウド型タレントマネジメントシステム「SAP SuccessFactors」を活用している。SuccessFactorsでは、職場環境のデジタル化を支える「SAP Work Zone for HR」、従業員のスキル情報や現在の職務を基に、学習やキャリアをシステムが提案する「オポチュニティーマーケットプレイス」などのサービスが用意されている。
HXMにおいてSuccessFactorsは、クアルトリクスの従業員体験改善ツール「Qualtrics EmployeeXM」と連携している。従業員の働き方は、ダイバーシティー&インクルージョン(個人の属性を認め合い、強みを生かすこと)の浸透に伴い、今後さらに多様化するという。SuccessFactorsがオペレーショナルデータを管理し、適切なタイミングでEmployeeXMと連携することで、従業員体験の測定を一層支援し、就業の改善につなげることができるとしている。
クアルトリクスはEmployeeXMにおいて、従業員体験を「職場」「組織」「個人」「変革」という4つの分野に分けてソリューションを展開している(図2)。同社は、各分野で新たに4つのソリューションを提供した。
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新型コロナウイルスワクチンの職域接種を運用管理するソリューションでは、接種予約、電子受付、接種記録、副反応のフォロー、2回目接種のリマインド、事後処理を一貫して行う。「Diversity, Equity& Inclusion」では、組織内の多様性、平等性、包容性を測定/分析する。日本語版は近日中に提供予定だという。
ストレスチェックでは、厚生労働省が推奨している57項目の調査票を提供し、回答内容から高ストレス者の判定と集団分析を行う。この結果は、SAPのSuccessFactorsで管理されている従業員データとひも付けられる。「Qualtrics Candidate Experience」では、書類選考や面接など人材採用の各段階で候補者にフィードバックをしてもらい、企業が候補者の体験を把握することを支援する。採用担当者がフィードバックを参考にして行動を改善することで、優秀な人材の獲得につながるという。
加えてSAPジャパンは、ジョブ型モデルの検討支援サービスを無償で提供している。対象は、ジョブ型制度を検討している企業から既に導入している企業まで幅広い。同サービスでは、ジョブ型モデルに関する情報提供、企業が実現したい姿の整理、制度の枠づくり、制度やITシステム導入のロードマップづくり、といった流れで顧客を支援する。