Amazon Web Services(AWS)とMicrosoftはここ数年、米国防総省(DoD)による10年間で100億ドル(約1兆円)規模のクラウドプロジェクト「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)契約をめぐって応酬を続けてきた。そして、Microsoftは契約を獲得していたが、プロジェクトそのものが中止になるという結果に終わった。そうした中、米国家安全保障局(NSA)が100億ドル規模のクラウド契約をAWSに発注したと報じられた。このことに対するMicrosoftの7月の抗議は報復と捉えてもよいかもしれない。いずれせよ、政府のクラウド契約をめぐる新たな戦いの火ぶたが切って落とされた。
Nextgovが米国時間8月10日に報じたところによると、NSAは今夏のどこかの時点でAWSに対して、「秘密のクラウドコンピューティング契約」を発注した。コード名は「WindandStormy」だとされている。MicrosoftはNSAより、AWSと契約を取り交わしたとの通知を受け、2週間後の7月21日、入札に対する抗議文書を米会計検査院に提出した。Nextgovによると、この契約は「Intelligence Community GovCloud」として知られる「NSAが抱えている主要機密データのリポジトリーをモダナイズするための取り組み」の一環だという。
Nextgovによると、NSAは世界各地に置かれた複数のリポジトリーから収集した諜報データなどを組織内のデータレイクに蓄積しており、NSAや他の組織のエージェントがこのデータレイクを用いてクエリーや分析を実行できるようになっている。NSAの目的は、「Hybrid Compute Initiative」という取り組みの一環として、NSAの諜報データを独自のサーバーから商用クラウドベンダーが運営するサーバーに移行することだという。
米会計検査院は10月29日までに、Microsoftの抗議に対する結論を出す見通しだとNextgovは報じている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。