調査会社Canalysによれば、2021年第1四半期の企業のクラウドインフラサービス支出は前年比35%増の418億ドル(約4兆6000億円)に達した。市場リーダーは依然としてAmazon Web Services(AWS)だ。
Canalysが発表した2021年第1四半期のクラウド支出に関するレポートで明らかになった大手クラウド事業者のランキングに番狂わせはなく、首位はAWSで市場シェアは32%であり、2位以下にはMicrosoft Azure(19%)、Google Cloud(7%)が続いた。3社の市場占有率は前四半期とほぼ同じだった。
コロナ禍の影響で企業がデジタルトランスフォーメーションの取り組みを加速させており、アプリケーションのクラウドへの移行やデータセンターの整理統合が進んだことで、すべての大手クラウド事業者が業績を拡大した。
このレポートが発表される直前の米国時間4月29日には、Amazonの第1四半期決算が発表されている。AWSの売上高は前年同期比32%増で、2021年の年間売上高ランレートは540億ドルとなった。Amazonの営業利益のうち、41億6000万ドルがAWSによるものだった。
Microsoftも4月最終週に2021会計年度第3四半期の業績を発表しており、コマーシャルクラウド事業の売上高が前年同期比33%増の177億ドルだったことを明らかにした。Azureの売上高は50%増加した。
Canalysは、企業のクラウド支出が四半期で400億ドルを突破したのは第1四半期が初めてであり、2018年には及ばないものの、成長率も増加に転じたと述べている。支出額は前年同期から110億ドル近く増加しており、直前の四半期と比較しても約20億ドル増えた。
同社は、Microsoftの業績が伸びている要因として、ハイブリッドクラウドのコントロールプレーンである「Azure Arc」、データアナリティクス製品「Azure Synapse」、AIプラットフォームに対する投資を挙げた。
Azure AIプラットフォームは、Microsoftが新たに設けた「デジタルトランスフォーメーションプラットフォームグループ(Digital Transformation Platform Group)」が管轄する製品だとみられる。