松岡功の「今週の明言」

BIPROGY新社長が語った「今後、どこで尖って戦っていくのか」

松岡功

2024-05-10 11:05

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、BIPROGY 代表取締役社長CEOの齊藤昇氏と、Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏の「明言」を紹介する。

「強い分野を徹底的に強くしていくことに注力していきたい」
(BIPROGY 代表取締役社長CEOの齊藤昇氏)

BIPROGY 代表取締役社長CEOの齊藤昇氏
BIPROGY 代表取締役社長CEOの齊藤昇氏

 BIPROGY(ビプロジー、旧・日本ユニシス)は先頃、2023年度(2024年3月期)決算および2024年度(2025年3月期)から2026年度(2027年3月期)までの3カ年の経営方針について記者説明会を開いた。冒頭の発言は、2024年4月1日付で同社 社長CEO(最高経営責任者)に就任した齊藤氏が、会見の質疑応答で「今後、どこで尖って戦っていくのか」と聞いた筆者の質問に答えたものである。

 同社の2023年度決算および2024年度から3カ年の経営方針の詳細な内容についてはそれぞれ発表資料をご覧いただくとして、ここでは経営方針の基本的な考え方や質疑応答での齊藤氏と筆者のやりとりについて紹介したい。

 まず、今後3カ年の経営方針の前に、これまでの3カ年の振り返りについて、斎藤氏は図1を示しながら次のように説明した。

(図1)これまでの3カ年経営方針の振り返り(出典:BIPROGYの発表資料)
(図1)これまでの3カ年経営方針の振り返り(出典:BIPROGYの発表資料)

 「これまでの3カ年は2021年に掲げた『Vision2030』の実現に向け、お客さまと共に社会課題解決に取り組む企業グループとしての基盤を着実に築いてきた。定量面では売上収益、利益ともに過去最高となり、業績目標を達成することができた。定性面では『For Customer』から『For Society』へとビジネスが広がり、経営基盤の強化も進んだ。今後も経営環境の絶え間ない変化に迅速かつ柔軟に対応し、グループの連携を高め、新たな経営方針(2024-2026)を着実に実行していきたい」

 そして、同氏は図2を示しながら、「新経営方針(2024-2026)はVision2030の実現に向けたセカンドステージとなる。これまで積み上げてきた経営資本をもとに積極的な成長投資を行い、コア事業と成長事業の両利きの経営を推し進め、新たな事業を生み出したい。この事業の柱を持続可能な事業ポートフォリオとして確立し、企業価値1兆円を目指し、チャレンジしていきたい」と力を込めた。

(図2)新経営方針(2024-2026)の位置付け(出典:BIPROGYの発表資料)
(図2)新経営方針(2024-2026)の位置付け(出典:BIPROGYの発表資料)

 新経営方針では、図3に示すように3つの基本方針を掲げている。1つ目は「持続性のある事業ポートフォリオ確立による企業価値の向上」で、コア事業と成長事業の2つの事業戦略で構成されている。2つ目と3つ目は、事業を支える経営基盤としての戦略と、グループ経営の強化を打ち出している。

(図3)新経営方針における3つの基本方針(出典:BIPROGYの発表資料)
(図3)新経営方針における3つの基本方針(出典:BIPROGYの発表資料)

 ただ、齊藤氏の説明を聞いて、筆者は「BIPROGYは競合他社と比べてどこに決定的な強みを持ち、存在感を高めていこうとしているのか」と疑問を抱いた。すなわち、今後、どこで尖って戦っていくのか。そこで、会見の質疑応答でその疑問をぶつけてみたところ、同氏は次のように答えた。

 「事業ごとに述べると、コア事業では注力領域へ経営資源を集中し、提供価値を向上させるとともに生産性向上施策を進め、サービス型ビジネスをさらに拡大していく。また、成長事業では新たなサービス領域や成長市場でのシェア獲得、社会DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速、ASEANを中心としたグローバルビジネスを拡大していく。この成長事業ではまさしく尖った人間が尖ったことにチャレンジして新たなビジネスを生み出しつつある。当社はあらゆる分野にソリューションを提供できるわけではない。だからこそ、強い分野を徹底的に強くしていくことに注力していきたい」

 冒頭の発言は、この最後の言葉を取り上げたものである。新社長の熱い思いがこもった一言を最後に聞くことができたというのが、筆者の印象だ。

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