コンテンツクラウドサービスを提供するBoxの日本法人Box Japanは4月17日、新年度事業戦略に関する記者説明会を開催した。
Diego Dugatkin氏
冒頭、Boxでシニアバイスプレジデント 兼 最高製品責任者(CPO)を務めるDiego Dugatkin氏は、「われわれはデータが分散・断片化された世界にいる」と述べ、同社製品戦略の原動力となる分野として、「業務のデジタル化と自動化」「AIの導入で企業のスピードを高める」「最重要データの保護」を挙げる。「この3つの重要な要素を組み合わせることで、基本的に非構造化コンテンツの大半の問題を解決することができる」(Dugatkin氏)
企業にあるデータのうち非構造化データの割合は90%以上だが、同社のソリューションは非常に水平的であり、全ての部門の人たちをサポートしてきたという。
Boxは、インテリジェントな単一プラットフォームでセキュアなコラボレーションを促進するコンテンツクラウドを提供し、その各コンポーネントにAIを適用する「Box AI」を投入しているとDugatkin氏。Box AIは、同社プラットフォーム上の機能と統合され、ドキュメントのプレビューや質問に対して回答を返すことなどを可能にするという。新しい機能として、「Box AI for Notes」「Box AI for Documents」が先ごろ提供されている。
ファイル共有とストレージを提供するサービスとして登場した「Box」は、その後、コンテンツの管理と安全確保を目的に機能を強化し、現在ではワークフローの自動化とインテリジェンスに向けて進化している。「Boxの新時代の幕開け」とDugatkin氏はいう。
同社は、取り組んでいるさまざまなイノベーションを統合するため、ノーコードのエンタープライズコンテンツ管理アプリケーションを提供するCroozeを1月に買収した。ドキュメントをダイナミックに生成する「Box Doc Gen」、ドキュメントビジネスプロセスを開始する「Box Forms」、レビューおよび承認プロセスを自動化する「Box Relay」といった機能がCroozeのノーコードのアプリケーション構築ソリューションで統合される。
AIに対応するBoxアーキテクチャーは、「エンタープライズグレードのセキュリティを導入」「モデルを確実に分離」「複数のコンテンツタイプに対応」「最新のAIモデルに対応」「きめ細かなアクセス制御が可能」を特徴とするとDugatkin氏はアピールする。
Boxは、独自の大規模言語モデル(LLM)を構築せず、Open AIやIBM、Microsoft、GoogleといったLLMを提供する複数のパートナーと連携している。「クエリーに対して最適なAIシステムをその場で選択する」(同氏)
Boxは中立的な立場で、将来を見据えてプラットフォームを構築しているという。現在は、提携しているモデルを使用できるようにしているが、将来は、顧客が独自のLLMを使用可能にすることも考えているとDugatkin氏は述べる。