Canalysが発表した新たなレポートによると、2019年第4四半期は企業によるクラウドインフラサービスへの支出額が世界全体で前年同期比37%増となり、史上最高額に達したという。通期の支出額は1070億ドル(約11兆7500億円)となった。それほど驚くことではないが、Amazon Web Services(AWS)が3分の1のシェアを占めた。
提供:Canalys
多くの業界がデジタル化する中、企業はIaaSへの支出を増やすとともに、サーバーやストレージ、コンピューティングのほか、請求書発行からモニタリング、セキュリティまでさまざまなクラウドベースのサービスへの投資を拡大している。
さらに、企業がクラウドインフラの利用を増やし、既存のアプリケーションの規模を拡大することに意欲的であることなどから、2019年の需要が急増した。Canalysは、この好況が今後数年続くと考えているようだ。レポートでは、クラウドインフラサービスへの支出総額が2024年には2840億ドルに達すると推定している。
Canalysの主任アナリストAlastair Edwards氏は、「金融サービスからヘルスケアまで、さまざまな業界の組織が技術プロバイダー化している」と述べている。
またEdwards氏は、「多くの企業は、各クラウドサービスプロバイダーの長所や、特定のタイプのワークロードに必要なさまざまなコンピュート運用環境を認識したうえで、マルチクラウドとハイブリッドITモデルを組み合わせて利用している」と説明している。
2019年に成功を収めたクラウドプロバイダーには柔軟性があったと言える。AWSは2019年にクラウドインフラで32%のシェアを占めた。競合の「Microsoft Azure」は約17%で2位だ。
Canalysのレポートは、「AWS Outposts」のようなサービスの一般提供により、AWSのさらなる成長が促されると予測している。AWSは2018年に、AWS Outpostsを発表した。AWSのパブリッククラウドに接続した統合ラック群上でネイティブなAWSやVMware環境を稼働させることが可能なサービスだ。
また、マルチクラウドやハイブリッドソリューションを選ぶエンタープライズユーザーが増えている中、チャネルパートナーの役割がますます重要になっているとCanalysは述べている。