VMware社は米国時間10月5日、同社の仮想化ソフトウェア「vSphere」の新しいアーキテクチャーである「Project Arctic」のテクノロジープレビューを発表した。Project Arcticは、ハイブリッドクラウドを事実上のデフォルト運用モデルにするための製品だ。この製品を利用すれば、vSphereにクラウド接続機能をネイティブ統合することで、オンプレミスのものも含め、vSphere上で動作するあらゆるワークロードでさまざまなクラウドサービスを利用できるようになる。
また、オンデマンドで無制限にクラウドのキャパシティを利用することが可能になり、「vCenter」を介して「VMware Cross-Cloud Services」にアクセスできるようになる。
Project Arcticは、顧客のマルチクラウド戦略を支えるために、VMwareがどのように製品を進化させようとしているかをよく表している。VMwareのクラウドインフラ事業グループでマーケティング担当バイスプレジデントを務めるMatt Morgan氏は、すべてのクラウドに対する統合的なアプローチを構築しようとする企業が増えていると話した。
VMwareは、同社主催のカンファレンス「VMworld」の冒頭で、同社のクロスクラウド戦略に関連するいくつかの発表を行った。まず、「vRealize Cloud Management」にはさまざまな機能強化が発表された。これには、200以上のアプリケーションの自動認識、Kubernetes/Tanzuのプロビジョニング機能とモニタリング機能の統合、「NFX Federation」をサポートすることによるネットワーク運用の改善などが含まれている。
また、2022会計年度第3四半期の始めに、「VMware Cloud on AWS」の一部として、追加費用なしで「VMware Cloud with Tanzu」の各種サービスが利用できるようになることも明らかになった。VMware Cloud with TanzuはTanzuの機能を提供するフルマネージドサービスで、これを利用すれば、Kubernetesのクラスターをわずか数分でプロビジョニングできるという。将来的には、VMware Cloudのほかの製品もサポートされる予定だ。
また、VMware Cloud on AWSでは、ランサムウェア攻撃からの復旧を支援する「Cloud Disaster Recovery」や、高度なセキュリティ機能も利用できるようになる。
ローカルクラウドの分野では、「VMware Cloud on AWS Outposts」が2022会計年度の第3四半期に提供が開始される予定であることが明らかにされた。Morgan氏は、「私たちは、充実したVMware Cloudスタックをオンプレミスでサービスとして提供する」と述べた。この製品は、Nitroベースのインスタンスを実行するAWS Outpostのハードウェアスタック向けにパフォーマンスが最適化されているという。
VMwareはまた、インフラ向けの柔軟なサブスクリプションサービスである「VMware Cloud Universal」をTanzuにも拡大する。
さらに同社は、顧客が各国のデータの取り扱いに関する規制要件を満たせるよう、信頼できる各国のクラウドサービスプロバイダーと協力して、「VMware Sovereign Cloud」と呼ばれる取り組みを展開する。Sovereign Cloudのサービス開始時点での指定パートナーは、UKCloud、GDIT、OVH、AUCloud、Datacom、Ionos、Telefonica、TietoEvry、Swisscom、Telmex、ThinkOnとなっている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。