リモート接続ソリューションを提供するTeamViewerジャパンは10月7日、記者説明会を開催し、同社の取り組みや事例、今後のビジネス戦略などを説明した。
TeamViewerは2005年にドイツで設立。2020年の売上高は4.6億ユーロ、従業員数は1500人。インストール数は25億以上、世界での有償顧客数は60万以上となっている。携帯電話やタブレット、データセンターのサーバー、産業機器、医療機器といったさまざまなOSのあらゆるデバイスや機器、人をリモートで接続するというのがTeamViewer製品の目的だと同社 最高経営責任者(CEO)のOliver Steil(オリバー・スタイル)氏は説明する。
同社のソリューションは現在、企業のデジタル化やデジタル変革(DX)といった世界的な“メガトレンドの波”に対応する形で拡充されている。ユースケースも拡充されており、産業機器をタブレットで遠隔から操作する、機械の3次元モデルを作成することで現地に行くことなく修理する、データセンターの機器に遠隔から接続してトラブルシューティングをする、現場の作業者を支援するためスマートグラスに拡張現実(AR)などで情報を投影する、というように多様化している。
1つの企業で見た場合も、バリューチェーンを網羅するようにソリューションを提供しているとSteil氏。研究開発、製造、物流、コーポレート、営業、保守・サービスといった各部門の活動を支援する製品の拡充がここ数年で進んできたという。製造や物流だけではなく、対顧客サービスでも利用されており、TeamViewerのユニークさである情報技術(IT)と制御技術(OT)の組み合わせは、SAPなどの提携企業にとって魅力ある特徴となっていると述べる。
同社の成長戦略は、利用シーン、産業、地域という3つの軸を持つ3次元の立方体で示されている。当然ながら、TeamViewerが事業を展開している市場自体の成長は重要で、デジタル化・DXのトレンドにより獲得可能な市場規模が27%増加している。その上で、利用シーンという軸で見た場合、さまざまなユースケースに対応すべく製品を拡充。産業という軸では個人ユーザーから中小企業、エンタープライズへと顧客層を拡大している。そして、地域という軸ではグローバル化を進めているという。
(出典:TeamViewerジャパン)
主な事例として、画像診断装置などを製造するSiemens Healthineersでは、MRIスキャナーなどの医療機器への安全な接続をTeamViewerの技術によって可能にし、新しいサービスを実現している。スキルを持つ放射線技師は人材が不足しがちだが、場所を選ばない勤務を可能にするため、セキュアかつデータプライバシーを保った状態でMRIスキャナーにアクセスできるようにする。また、機器に対する遠隔でのトラブルシューティング/サポートも可能となるという。