NTTデータと日本電信電話(NTT)は5月9日、ITサービスの競争力強化に向け両社の海外事業を統合すると発表した。2022年10月1日にNTTデータが55%、NTTが45%の共同出資で海外事業会社を設立する。また、2023年7月に国内事業会社を新たに設立し、NTTデータの持株会社の傘下に国内事業会社、海外事業会社を配置する事業運営体制に移行する計画。
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事業統合のステップ
NTT 代表取締役社長 社長執行役員の澤田純氏は、同社グループのグローバル事業について「海外営業利益率は2021年度において6%を超えるまで伸張する見込み。2023年度の中期財務目標である7%は射程内にある」と話す。
また、さらなる事業拡大に向けた取り組みとして、澤田氏は「グローバルカバナンスの強化」と「ビジネスユーザー向けグローバル事業能力の強化」を挙げる。
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NTT 代表取締役社長 社長執行役員の澤田純氏
グローバルカバナンスの強化では、NTTグループのグローバル人材を結集し、グローバルガバナンスに知見を持ったリーダーシップの下で自律的に経営し、事業ポートフォリオの拡張による安定した収益構造の実現を目指す。
グローバル事業能力の強化については、ビジネスコンサルティング、IoTデバイスからクラウドまでのサービスオペレーションをフルスタックで提供する。それにより、複数の顧客や業界で活用可能なデジタルプラットフォームを実装できる、価値あるパートナーを目指すとしている。
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NTTデータ 代表取締役社長の本間洋氏
NTTデータ 代表取締役社長の本間洋氏は、「ITとデジタルの普及により、企業活動から消費・生活スタイルまで大きく変化しており、企業が対応しなければならない課題、ニーズは複雑化・多様化している」といい、「テクノロジーの進化によってあらゆるデータを活用したサービスの高度化が進み、新しい社会の実現に向けてEdge to Cloudの重要性が高まっている」と社会トレンドの変化を振り返る。
NTTデータでは、2022~2025年の新中期経営計画で「Realizing a Sustainable Future」を掲げ、「未来に向けた価値を作り、さまざまな人々をテクノロジーでつなぐことでお客さまとともにサステナブル(持続可能)な社会を実現する」(本間氏)という。
本間氏はNTTデータの中核能力として「深い顧客理解と高度な技術力でシステムを作り上げる力」と「さまざまな企業システムや業界インフラを支える力」を挙げ、それぞれを“つくる力”と“つなぐ力”と表現する。今回の海外事業の統合によって、「つなぐ力による新たな競争優位性を獲得していく」と強調した。
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事業統合の概要