ピープルアナリティクスサービスを提供するアッテルは6月28日、「日本企業のピープルアナリティクス現状調査2022」を発表した。日本企業の人事・採用担当者300人を対象に、ピープルアナリティクスがどれだけ導入されているのか、その使い方や効果について調べている。調査期間は5月12~13日、調査方法はインターネットで実施した。
アッテルによると、ピープルアナリティクスは従業員の人事・行動データを収集・分析して、人事業務の意思決定に活用する技術のこと。ピープルアナリティクスという言葉と意味を知っているかと聞いたところ、「はい」と答えた人事・採用担当者は36.7%、「いいえ」が63.3%で、知らない人が半数を超える結果だった。
「ピープルアナリティクスはどのステップまで取り入れられているか」という質問には、55.7%が「全く導入されていない」と回答し、導入している会社でも「データの蓄積・可視化ができている」が17.3%と最も多く、データを集めているだけで終わってしまっている会社が多いことも分かった。
さらに、「人事は感覚的に行われていると思うか」という質問に対しては、55.3%が「はい」と回答。まだ日本企業の多くが勘や経験に基づく意思決定に頼っていることが明らかになったとしている。
ピープルアナリティクスを知らない、または導入していないと回答した担当者が多い一方で、「人事・採用データを定量的な視点で分析しているか」という質問には、「はい」が50.7%と半数以上がデータ分析をしていると回答。同回答者に「分析したデータを何に役立てているか」を聞いたところ、「採用」が75%、「適正評価」が64.5%、「適正配置」が63.8%と続いた。
一方、「活躍する人材、退職しやすい人材の傾向を定量的に把握し、打ち手につなげているか」という質問には、67%が「打ち手につながっていない」と答えており、データの分析がうまくいっていない、結果につながっていない企業が多いことが分かった。
ピープルアナリティクスが全く導入されていないと回答した167人に、「今後ピープルアナリティクスの考え方や仕組みを導入したいと思うか」聞いたところ、「はい」が26.9%と一定数はいたものの、「分からない」と回答した人が最も多く55.7%を占めた。
しかし、全回答者に「ピープルアナリティクスを有効に進めるために適性検査は重要だと思うか」と聞いたところ、半数以上の52.7%が「はい」と回答。採用や配置において適性検査が重要な役割を担っていることを理解し、正しく導入・分析したいと思っている人が多いことも分かったとしている。
今回の調査結果について、代表取締役の塚本鋭氏は「感覚的に人事を行っていると自覚している企業や、データ分析ができていない企業がまだまだ多いことが分かった。一方で、データ分析に取り組んでいる企業でも、多くが結果につながっていないと感じていることが明らかになった。人事(HR)データは、集めるだけでもやみくもに分析するだけでも効果的ではなく、目的を設定し成果や打ち手から逆算して分析を行うことが重要」と指摘する。