Red Hatは、2020年から社長兼最高経営責任者(CEO)を務めてきたPaul Cormier氏が退任し、会長に就任することを発表した。ベテラン社員で製品およびテクノロジーの責任者であるMatt Hicks氏が後任として社長兼CEOに就任する。
Red Hatに14年以上勤務してきたCormier氏がまもなく引退するのではないか、とのうわさは5月の「Red Hat Summit」でもささやかれていた。そのうわさは正しくなかったが、同氏はやや負荷の少ない役職に移ることになった。
ブランド体験およびコミュニケーション担当バイスプレジデントのStephanie Wonderlick氏は、「Paul Cormierがいなければ、Red HatがRed Hatになることはなかっただろう」と述べた。
Cormier氏は、エンジニアリング担当バイスプレジデントを務めていた2003年、初期の低価格ディストリビューションである「Red Hat Linux」を捨てて、本格的な企業向けLinuxである「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」に移行する取り組みを主導した。
その取り組みは支持を得られなかった。Cormier氏は後に、「当時の(多くの)エンジニアはビジネスモデルに関心がなく、Red Hat Linuxの開発に取り組むことを望んでいた。新しいモデルへの移行に伴って、社内である程度の混乱が生じた。一部のエンジニアは退職したが、会社にとどまったエンジニアの方が多かった」と語っている。ユーザーもこの取り組みを全く支持せず、Red Hatが初期の顧客を見捨てようとしていると考えた。しかし、エンタープライズ顧客の見方は違った。
現在では、RHELは業界をリードするエンタープライズ向けLinuxプラットフォームだ。Fortune 500企業の90%以上で使用されており、2022年におけるRHELの全世界での経済規模は13兆ドルに達する。
Hicks氏は社内で人気が高く、実践的なリーダーとして知られている。同氏は2006年、「Perl」アプリケーションの「Java」への移植に取り組む開発者として、Red Hatに入社した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。