「開発者はもう誰もコードを書いておらず、Stack Overflowからコピー&ペーストしているだけだという、お決まりのジョークがある」
Stack Overflowは多くのプログラマーに愛されているサイトであり、今では世界でも最大級のウェブ資産の1つに成長している。このジョークに言及したのは、創立14年目のStack Overflowの最高技術責任者(CTO)に新たに就任したJody Bailey氏だ。
提供:Tiernan Ray for ZDNet
Bailey氏がAmazon Web Services(AWS)を辞めて同社に入社したのは1カ月半前のことで、同氏はAWSで、製品管理、ユーザー体験、および自習体験に関するエンジニアリングの責任者を務めていた。
しかし、Bailey氏がStack Overflowで担おうとしている役割は、以前の仕事のコピー&ペーストではない。同氏の任務はもっとクリエイティブな仕事であり、具体的には、長年にわたってあらゆるものを自社構築してきたStack Overflowの姿を、パブリッククラウドの時代に合うように変えることだ。
Bailey氏は先週、米ZDNetがロウアーマンハッタンにあるStack Overflowのオフィスで行ったインタビューで、2008年の創業からこれまでの同社の歩みについて、「起業して、事業を軌道に乗せて運営していたら、突然成功を収めた」という風に表現した。
成功を収めた企業では、次に「どうやってさらに規模を拡大し、成長できる体制に移行するか」が課題になる。より具体的に言えば、Bailey氏は2つの課題に直面している。巨大なインターネットサイトの規模を拡大するという課題と、エンタープライズ顧客が利用している、収益を生んでいるバージョンのサイトの規模を拡大するという課題だ。
Stack Overflowは、答えを求めてさまよう一般利用者に、的確な回答を提供する場所として知られている。Bailey氏の表現を借りれば、「答えを求めてググれば、結局はStack Overflowに行き着く」というわけだ。一般ユーザー向けのメインサイトは、1億人以上のユニークユーザーを抱えており、ページビューは毎秒6000回にも達する。
「私の考えでは、これはコンテンツを提供するサイトというよりも、開発者を中心とした人々が質問をして、コミュニティの専門家から回答を得るための場だ」とBailey氏は述べている。
ここで交わされている議論のほとんどはプログラミングに関するものだが、「Stack Exchange」と呼ばれる、ガーデニングから航空技術まで、さまざまな専門分野の会話を交わすための場も設けられており、150種類ほどのトピックが存在している。
ところが、それらは最近「エンタープライズ向け製品にシフトしている」という。それが「Stack Overflow for Teams」だ。同社は一般ユーザー向けのサイトでも多少の広告を掲載しているが、売上高の大半をこのTeamsから得ている。
Teamsを使えば、企業がStack Overflowのような働きをするプライベートなQ&Aサイトを作れる。Bailey氏の言い方で言えば、「組織内での知識共有を容易にするための専用のコミュニティ」だ。このエンタープライズ向け製品を使用している顧客は100社以上あり、BloombergやMicrosoftなどの企業が、1万以上のチームのサイトを設けている。