クアルトリクスは2月17日、2023年度のビジネス戦略発表会を開催し、同社が2022年に実施した従業員体験(EX)に関する調査の結果も解説した。
同社の2022年度におけるグローバルでの総売上は前年比36%増の14億5900万ドル、売上維持率(NRR)は120%で、発表会に登壇したカントリーマネージャーの熊代悟氏は「ありがたい形でビジネスができている」と述べた。
クアルトリクス カントリーマネージャーの熊代悟氏
2023年度の活動計画として、熊代氏は(1)継続的な新規顧客の獲得、(2)既存顧客における利⽤範囲の拡大、(3)国内での認知度向上に向けた活動強化――を挙げる。
(1)では、営業人員の増強・国内パートナー企業との連携強化に取り組む。(2)では、アドバイザリーサービス人員の増強、ユーザー会やラウンドテーブルといったアクティビティーの強化などを行う。(2)について、熊代氏は「われわれのプラットフォームを契約しただけで目標を達成できるわけでなない。働き方や会社の仕組み、考え方を変えていく必要があり、そういったところを支援する人員の増強を予定している」と説明した。
(3)では、エクスペリエンスマネジメント(XM)に関する米Qualtricsのイベント「X4」を2023年8月に国内で初めて開催したり、国内外での調査とレポート発信を強化したりする。「2022年、アジアにおけるQualtricsの認知度を調査したところ、恥ずかしくて数字は言えないが、まだまだ伸びしろがある結果が出た。今年は認知度を上げる活動もしたい」(熊代氏)
ビジネス課題の解決には、テクノロジーの活用だけでなく、エクスペリエンスの重要性を認識している「カルチャー」、エクスペリエンスの向上に取り組む「コンピテンシー」が必要だという。顧客体験(CX)では顧客と接している従業員、従業員体験(EX)では組織の責任者が調査結果を基に改善活動を行うことが大事だとしている(図1)。
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熊代氏は「『PDCA(計画・実行・評価・改善)』に対し、最近は『OODA(観察・状況判断・意思決定・実行)』が提唱されているが、この考えは当社のプログラムと合っているのではないか。小さいOODAを積み重ねてノウハウを蓄積していくのが、EM成功の鍵である。われわれはテクノロジーを提供するだけでなく、こうした考え方もお伝えしていきたい」と述べた。
親会社のSAPが1月、Qualtricsの株式売却を検討すると明らかにしたことについて質問が及ぶと、熊代氏は「現在発表されている内容に尽きるが、両社のテクノロジーは連携しており、Oデータ(業務データ)がないとXデータ(体験データ)のインサイトも得られないので、完全に独立するわけではなく、パートナーシップは継続する」とコメントした。