SBI新生銀行は、インターネットバンキングサービスの中核基盤に可観測性(オブザーバビリティー)プラットフォーム「New Relic」を採用した。製品を提供するNew Relicが3月15日に発表した。
SBI新生銀行グループは重点戦略として「グループ内外との価値共創の追求」を推進しており、SBI新生銀行の「API-Hub」はその戦略をシステム的に支える仕組みとなっている。
API-Hubは、インターネットバンキングサービスのフロンドエンドシステムと、勘定系システムなどバックエンドの基幹システムを疎結合にするためのAPI基盤。SBIグループ各社や提携各社は、同基盤を通じて各社が開発したシステムのAPIを組織横断的に自由に選び、組み合わせて使うことができる。2023年2月時点で1時間当たり約165万件ものAPIコールが処理されているという。
API-Hubは、クラウドプラットフォームの有効活用を積極的に推し進める同社の基本方針にのっとり、クラウドネイティブのコンテナープラットフォーム「Red Hat OpenShift Service」を用いてAmazon Web Services(AWS)上に構築され、OpenShiftクラスター上に数千にも及ぶコンテナーが動作している。
SBI新生銀行では、API-Hubにおけるコンテナーの状態の可視化と障害の早期発見、対処の迅速化を主な目的としてNew Relicを導入した。API-Hubの可用性や性能を高いレベルで維持するに当たり、インフラやログ、オンラインサービスの拡充に従って増加するコンテナーのモニタリングと状態の可視化を実現し、安定した稼動を担保することに貢献。これまで1時間ほどかかっていたAPI-Hub内の問題確認の作業全行程が10分未満で完了するようになったとしている。
今後は、インターネットバンキングサービスを構成するシステム全体をエンドツーエンドで観測することでサービスの顧客満足度やユーザー体験の向上を実現していく計画。その計画の中で、システムの運用とサービス開発が一体となった性能改善、障害対応の体制を確立するほか、グループ各社でもNew Relicの活用によって可観測性を推進し、オンラインサービス全体のさらなる品質向上を図ることも視野に入れている。