あのリコール問題も回避できた?--危機管理にも役立つリアルタイムなナレッジ共有

富永康信(ロビンソン) 2010年03月15日 15時00分

 「強欲なトヨタよ、恥を知れ」

 自身のレクサスで原因不明の急加速を体験したという元ソーシャルワーカーの女性は、2010年2月23日に行われたトヨタのリコール問題を調査する米下院公聴会でこう言い放った。

 フロアマットのアクセルペダルへの干渉問題を始めとして、ペダルの形状や電子制御スロットル、ABSへの不具合が次々に疑われるなど、米国、中国、欧州でトヨタのリコール問題はまだ渦中にある。だが、なぜトヨタがこれほどまでに批判を受けることになってしまったのだろうか。

危機管理にこそリアルタイムな情報共有が不可欠

 数年前から米国内でくすぶり始めた不具合の兆候を見誤ったことが発端だという見方もある一方で、リコールを宣言するまでに時間がかかりすぎたことや、不十分な説明が秘密主義を通しているとの印象を与えたことが、信頼あるブランドとして信じられてきたクリーンなイメージを裏切る形となり、米国マスコミによるバッシングを助長した。

 また、対応が甘いととばっちりを受けたNHTSA(米運輸省道路交通安全局)も、情報公開要求がトヨタの上層部へ迅速に伝わらないことにいらだちを募らせるようになった。ある米国紙は「トヨタの幹部は都合の悪い情報を社長に伝わらないようにしている」とさえ表現するほどだ。

 この事例で重要なのは、危機管理にこそリアルタイムな情報共有が必要だったという点だ。TMS(米国トヨタ自動車販売)やTEMA(北米研究開発・製造統括会社)と、日本のトヨタ自動車本社との間での情報共有の方法や意思決定のプロセスの統一、品質問題の常時把握や危機管理意識の共有がリアルタイムに図られていたならば、対応はもっと早く適切に行われ、トヨタ批判はこれほどまでに悪化しなかったのではないかと思われる。

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