今回はNotes移行によるワークスタイルの変革を訴える国産ベンダーのドリーム・アーツに話を聞いた。大規模ユーザーの移行を成功させてきた実績から見えてくる“ポストNotes”の本質とは何なのだろうか。
7割のユーザーがNotesの扱いに悩む
競争のグローバル化や新たな法規制、情報活用の高度化など、ビジネス環境の変化によりITへの要求も日増しに厳しくなっている。古くからLotus Notes/Dominoを利用してきた企業の中には、その独自のアーキテクチャによる運用管理の負荷や技術者不足などの理由から、他社製品への移行か、バージョンアップかの決断を迫られているところもある。
ドリーム・アーツのパートナーが2008年5月に行ったNotesユーザーに対する調査によると、「Notesから別製品に移行したいが、どうすればよいか悩んでいる」もしくは「Notesから別製品への移行を決断した」と回答したユーザーが、全体の約7割を占めたという。
Notesの移行をためらう企業はもとより、実際に移行を決断した企業にも、「これまでのDB資産を捨てられるのだろうか」といった不安や、システムのウェブ化やオープン化にあたって何をどうすればいいのかという疑問、あるいは親会社が使っている手前、独断で替えづらいという事情なども重なり、課題は尽きないようだ。
代わるツールが存在しないことが問題?
これらのNotesユーザーが乗り換えをためらう理由として最も多く挙げられるのは、「Notesと同等の機能を持ちつつ、使い勝手で勝るようなツールが存在しないこと」だという。業務の根幹に影響を与えかねないアプリケーションをNotesで作り込んでいるヘビーユーザーほど、その不安は大きい。
移行の受け皿となるツールしては、Welcomeページ(ポータル)、開発プラットフォーム、簡易DB開発、グループウェア、メールなど、Notesの持つ機能をすべて備え、同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮し、かつ価格が安いものが望ましい。だが現実は、ポータルがなかったり、開発プラットフォームを持っていなかったり、あるいは簡易DB開発ができなかったりと、何らかの機能が不足している。
だが、Notesと全く同じ機能を求めるということは、名前の違う単なるクローンを求めることにもなりかねない。無秩序なエンドユーザーコンピューティング(EUC)やDBの乱立といった現状の課題を顧みず、「そのまま移行できるか」どうかという判断基準のみで今後のコラボレーション基盤を決定するようでは、再び轍を踏む結果になる。