日立、統合プラットフォーム新製品--事前構成で検証済み、運用管理を自動化

冨田秀継 (編集部)

2012-10-22 17:21


Hitachi Unified Compute Platform
Hitachi Unified Compute Platform

 日立製作所は10月22日、統合プラットフォーム製品「Hitachi Unified Compute Platform(UCP)」を発表した。ソフトウェアとハードウェアを事前に検証して組み合わせて提供。統合管理に重点を置いた新製品となる。

 今回発表されたのは、IaaS基盤モデルの「UCP Pro for VMware vSphere」と、PaaS基盤モデルの「UCP with OpenMiddleware」の2つのモデル。いずれのモデルもサーバ、ストレージ、ネットワークと、運用管理機能を緊密に統合させている。

 新製品の最大の特徴は「統合プラットフォームオーケストレーション機能」と言えそうだ。この機能では、仮想化環境の統合管理ソフト「VMware vCenter」の管理画面にUCPのタブを設け、ここを通じて仮想化されたサーバやストレージのリソースを管理できる機能を提供する。IaaSモデルであるUCP Pro for VMware vSphereでは標準で提供するが、PaaSモデルのUCP with OpenMiddlewareには2013年度の機能拡張で対応する予定。

 そのUCP with OpenMiddlewareには運用管理ソフトの「JP1」やクラウドサービス基盤の「Cosminexus」を組み合わせて提供する。日立は10月15日に最新版の「JP1 Version 10」を発表したばかり。最新版は「誰にでもできるやさしい運用管理」をコンセプトにしており、スキルや習熟度にかかわらず、運用管理の「自動化」を推進している点が特徴だった。今回、UCP with OpenMiddlewareにJP1の最新版を組み込んで運用管理のさらなる自動化と自律化を図る。

 もう一つの特徴は環境構築のためのテンプレートの提供。実際に顧客サイトで稼働しているハードウェアとソフトウェアの構成情報をテンプレート化することで、迅速で容易な環境構築を支援するとしている。

存在感を増す米国子会社 日立データシステムズ

佐久間嘉一郎氏
佐久間嘉一郎氏

 同社では、ITプラットフォーム事業本部の事業ビジョンを「One Platform for All Data」と定め、「グローバル事業強化」「高信頼クラウド事業を支えるソフト・サービス強化」「インフォメーションクラウドによるビッグデータ事業推進」の3つの戦略を柱に据えて事業を展開している。

 特にグローバル事業の強化では、同社の子会社の米Hitachi Data Systemsとの連携を強化しているところだ。

 日立製作所 執行役常務 情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEOの佐久間嘉一郎氏は会見で、同社がHitachi Data Systemsとの事業開発に注力していることを示し、今回発表した新製品もその成果の一つであると説明した。

 また、佐久間氏は新製品について「Hitachi Data Systemsが展開している100カ国以上の国と地域でグローバルに製品を提供する」ともコメント。Hitachi UCPがグローバルで販売されることも明かした。

  • UCPは4月のBS500からの流れを継ぐ新製品となる

  • ハイエンド製品を組み合わせた2モデルを提供

橋本崇弘氏
橋本崇弘氏

 同社 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部長の橋本崇弘氏は、サーバ管理運用コストが新規サーバ投資をはるかに上回っている調査結果を示しながら、ITにはより迅速な導入、より柔軟で容易な運用管理、そして変化への即応性が求められていると説明。

 その上で、新製品のコンセプトが「お客様のIT投資が攻めの投資になるよう、ご支援できるプラットフォームを目指した」とコメントした。

  • 新規サーバ投資を遙かに超える運用管理負担

  • 初期導入の工数を約半分にまで削減できるとする

  • 代表的なアプリケーションを事前に搭載して提供するモデルの展開も視野に入れいている

 価格は、IaaSモデルのUCP Pro for VMware vSphereが個別見積もり、PaaSモデルのUCP with OpenMiddlewareが3371万6235円から。なお、サポートサービス費用などが別途必要になる。10月23日から販売を開始し、12月25日に出荷する。

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