日立、運用管理の自動化を強化した「JP1 Version 10」

加山 恵美 2012年10月15日 12時08分

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 日立製作所は10月15日、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」の新版を発表した。10月16日から販売を開始する。

 製品名は「JP1 Version 10」。近年、クラウドコンピューティングや仮想化技術を用いてITインフラを構築する動きが広がり、スマートフォンをはじめとした利用デバイスの多様化、経営のグローバル化による運用管理業務の複雑化により、システム運用管理に高度なノウハウが求められてきている。

 現実には高度なスキルを持つ人員の確保や教育は難しく、いずれにしても手動の操作ではミスは避けられない。人手に頼るコストやリスクも課題だ。

手動操作のリスクを回避

 今回日立は「誰にでもできるやさしい運用管理」をコンセプトに、運用管理業務の自動化機能を強化。自動化運用基盤「JP1/Automatic Operation」(以下、「JP1/AO」)を新たに製品化し、また日立が培ったノウハウに基づいたベストプラクティスを「コンテンツセット」という形でウェブで提供する。

 運用管理の自動化については、今回のバージョンで最も力が入れられている部分である。運用担当者の負担を軽減し、正確に操作を実行することが目的だ。具体的にはIT運用自動化基盤「JP1/AO」が主要機能をカバーし、運用手順のテンプレートとなるのが「JP1/AO コンテンツセット」となる。後者は一連の操作をまとめたシナリオだ。

 ライセンス価格は、JP1/AOが10ライセンス(管理ノードごと、OS単位)で90万円から。JP1/AOコンテンツセットがインストール単位で90万円となる。

 コンテンツセットには日立グループ内のクラウド環境やデータセンタ運用で培ったノウハウを盛り込んだ。コンテンツセットを使えば一から運用手順を設定する手間をかけることなく、日立の豊富な運用ノウハウを享受することができる。

 現時点ではコンテンツセットとして、約30ほどのシナリオを用意している。例えば「監視設定追加」「運用ユーザー追加」「仮想サーバ追加(デプロイ/OS初期化)」など、基本的な運用シナリオ群だ。ダウンロードしたものをそのまま使うだけではなく、自社でカスタマイズして使用することも可能だ。

 今回提供されるコンテンツセットを日立のデータセンタで先行して適用したところ、市販の仮想化ツールを使って仮想サーバを新規作成するのと比べ、作業時間が半減し、作業ミスの低減につながったという。コンテンツセットは随時拡充される予定。日立は「今後は定常運用を中心にシナリオを拡充させていきたい」と話している。

海外で要望の強い画面カスタマイズに対応

 ほかに新たに製品化されたものに、カスタマイズとデータ転送を目的としたものがある。まず管理画面をカスタマイズする「JP1/Automatic Job Management System 3 - Software Development Kit」、「JP1/Cm2/Network Node Manager i Developer’s Toolkit」がある。顧客から「業務手順に合わせた管理画面にしたい」、「社内用語に合わせた管理画面で運用したい」などカスタマイズに対する要望が高かったため。特に海外で要望が高かったという。

 加えて海外拠点など遠隔地との大容量データのやりとりを効率よく行う「JP1/Data Highway」。例えばグローバルな製造業など、拠点間で巨大な設計データをやりとりするときの効率化に役立てられる。

 今回のJP1 Version 10と同時に、日立はJP1の技術やノウハウを応用したサービスの提供も開始する。JP1ブランドでサービス商品が展開されるのは初めてで、新たな提供形態となる。今回提供が開始されるサービス商品は2つ。「JP1 システム監視サービス」と「JP1 スマートデバイス管理サービス」だ。

 「JP1 システム監視サービス」は仮想化環境も想定したリモート監視サービスで、顧客のシステムを24時間監視し、システム障害の検知や通報を行う。監視対象が日立のミドルウェア「Groupmax」「HiRDB」「Cosminexus」および「Oracle Database(2012年12月提供予定)」であれば、運用状態の推移とJP1運用監視のノウハウから異常の予兆をとらえて通報するほか、障害の対策について提示、保守やサポートサービスと連携して原因究明までワンストップで提供する。

スマホ管理をSaaS形式で

 もう1つの「JP1 スマートデバイス管理サービス」ではスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの管理に必要な機能をSaaS型で提供する。こちらは日立のクラウド環境を用いるため数万台規模での大規模な利用にも耐えるスケーラビリティを有している。PC資産管理「JP1/IT Desktop Management」と連携し、オンプレミス環境でパソコンとスマートデバイスを一元管理する。

 今回のJP1 Version 10ではバージョン番号が9.5から10へと飛躍した。新製品および新たに提供するサービスでは日立のノウハウが凝縮されているだけではなく、自動化機能を強化しユーザーの負担を減らす「やさしい運用管理」へと進化を遂げた。

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