RHEL向けAMCサポートを日本HPからも提供--レッドハット、OpenStackの拡大狙う

中城朋大 (インサイト)

2014-03-20 10:45

 レッドハットは3月18日、企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の2014年の国内販売戦略を明らかにした。「成長分野へのフォーカス」「新ソリューションの提供」「エコシステムの拡充」の3つに注力する。

 レッドハット 執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長の古舘正清氏は成長分野として「仮想環境上でのゲストOSとしてLinuxの販売」「クラウド上へのLinuxの販売」「他プラットフォームからのマイグレーションの強化」「Internet of Things(IoT)」の4つを挙げた。

古舘正清氏
レッドハット 執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長 古舘正清氏

 仮想環境上でのゲストOSとしてLinuxの販売では、引き続きRHELのシェアを高めるよう努める。クラウド上へのLinuxの販売というのは、オープンソースソフトウェアのIaaS環境構築管理ソフトウェア「OpenStack」の展開とOpenStack上で稼働するRHELの拡大を狙う。古館氏は「2014年はOpenStackを市場に広げていく年だと位置付けている」と解説。クラウド対応の強化策として「Cloud Accessサブスクリプション」の提供を拡大すると説明した。

 Cloud Accessサブスクリプションは、クラウドとオンプレミス間でサブスクリプションを移行できるもので、たとえば、オンプレミスのRHELをパブリッククラウドに実装、あるいはパブリッククラウドに実装したRHELを使い終わった時点でオンプレミスに戻すといった使い方ができるようになる。現在は、一部のパートナーに提供しているが、全てのOEMパートナーに提供していくことを明らかにしている。

 他プラットフォームからのマイグレーションの強化については、現在2000社近くで稼働しているといわれるメインフレームやUNIXからRHELへの移行を狙う。ニーズが高まっているというWindowsからの移行も支援する。

 IoTでは、エンベデッドのネッワーク領域でRHELへの期待が高まっているという。具体的には「Network Function Virtualization(NFV)」だ。NFVは、通信事業者のコアネットワークで使われる専用機器の機能を仮想化技術で汎用のサーバで稼働させようとするものだ。

 NFVを実現するために、OpenStackをベースに環境を構築し、そこでゲストOSとしてRHELを稼働させてネットワーク機能を提供するようなケースだという。“組み込みRHEL”として販売を拡大していく。

 「RHELは現在てはオンプレミスの世界標準。3年後にはクラウド時代のIT基盤の世界標準にもっていきたい」(古館氏)

 2つと3つめの注力分野である、新ソリューションの提供とエコシステムの拡充では「アドバンスドミッションクリティカル(AMC)」「ビッグデータ(Big Data)」「クラウド(Cloud)」「データセンターモダナイゼーション(Datacenter Modernization)」という4つの分野の頭文字を取った“ABCD”をキーワードに説明した。

 AMCは、金融や大手通信業、社会インフラなどのミッションクリティカルシステムで使われるRHELに対するサポートサービス。SLAを保つために、緊急の問題解決プロセスやサポート問い合わせへの応答時間の迅速化、根本原因分析、重大な問題のプロアクティブ通知などを講じる。

 市場平均を上回る成長率を示しており、引き続き注力する上でAMCのパートナーとして、従来からの富士通、日立製作所、NECに日本ヒューレット・パッカード(HP)が加わることを発表した。HPとしては日本が最初のパートナーになるという。

 ビッグデータでは、ミドルウェア「JBoss」でデータベースを仮想化するソリューション、スケールアウト型のストレージソフトウェア「Red Hat Storage」にパートナーのソリューションを組み合わせて提供していく。パートナーは、JBossの8社、Red Hat Storageの5社と協業中だ。

 クラウドではOpenStackが中心となる。クラウド関連では、21社とパートナー契約を結ぶが、OpenStackのパートナーアライアンスについても近日中に発表する予定だとした。

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