レッドハット、日本でもRHEL 5/6の製品ライフサイクルを7年から10年に延長

怒賀新也 (編集部)

2012-04-11 16:32

 レッドハットは4月11日、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)5/6の製品ライフサイクルを、現状の7年間から標準で10年間に延長すると発表した。米国で1月31日に発表したのと同じ内容。これにより、企業は時間をかけて構築し、使い慣れたIT環境をより長い期間にわたって利用できる。また、既存のサポートサービス「Advanced Mission-Critical Program」(AMC)を富士通、NEC、日立製作所と協業することでRHEL 6にも適用すること、RHEL 5のサポートを13年間に延長して2020年までにすることを併せて明らかにしている。

三菱東京UFJ銀行の村林聡常務執行役員は「銀行の人間が記者の前に出る時はあまり良くない話題が多いが今日は良い話でよかった」と話し、笑いを誘った
三菱東京UFJ銀行の村林聡常務執行役員は「銀行の人間が記者の前に出る時はあまり良くない話題が多いが今日は良い話でよかった」と話し、笑いを誘った

 製品ライフサイクルを10年に延長したことについて、ユーザーの代表として話した三菱東京UFJ銀行の村林聡常務執行役員は「金融機関のシステムは社会インフラであるため、10年間に延長され、安定した環境をより長く利用できるようになるのは大きい。Linuxによるミッションクリティカルシステムの構築が現実的になってきたことを示すもの」とコメント。また、JBOSSも同様にライフサイクルを延長してほしいとしている。NTTの研究企画部門担当部長でOSSチーフプロデューサーの木ノ原誠司氏は「OSはシステム試験などに大きく影響を及ぼすため、安定した環境をより長く利用できることは利点がある」と話した。

 両者が共通して挙げたのは「技術者がサポート終了問題から開放されることへの期待」だった。より戦略的な仕事をする時間を増やしたいとしている。

 また、もう1つの発表であるAMCは、レッドハットが2008年から提供しているプログラムだ。重要なシステムを構築するために、プログラムのSLAを設定する。例えば、緊急の問題解決プロセスやサポート問い合わせへの応答時間の迅速化、根本原因分析、重大な問題のプロアクティブ通知などだ。こうした設定を参照し、富士通、日立、NECと協力関係を結んでサポートサービスを実施する。

左からレッドハットの廣川社長、日立の熊崎ソフトウェア本部長、米Red Hatのジム・トットン副社長、富士通の堀洋一常務理事、NECの赤津氏
左からレッドハットの廣川社長、日立の熊崎ソフトウェア本部長、米Red Hatのジム・トットン副社長、富士通の堀洋一常務理事、NECの赤津氏

 最初にレッドハットと手を結び、AMCを共同で企画開発したのは富士通だった。IAサーバ「PRIMEQUEST」および「PRIMERGY」とRHELを組み合わせたシステムを多く提供しているという。日立は、AMCを統合サービスプラットフォームである「BladeSymphony」と併せて提供し、Linuxの信頼性強化を今後も続けるとしている。NECも同様の考えだ。

 NECのITソフトウェア事業本部の赤津素康事業本部長は、Q&Aセッションで「ハードウェアのサポート期間は一般に5年程度のため、ソフトウェアだけ長くても問題があるのではないか」との指摘に「ハードウェアは新しいものの方が単純に性能が良い場合が多く、ソフトウェアとは考え方が違う」と指摘。時間の経過によりハードウェア性能がソフトウェア性能の向上についていけなくなることへの対処方法として、システムのクラウド化や仮想化などを挙げていた。

 レッドハットの廣川裕司社長は「日本のOS市場は700億円。そのうちメインフレームはいまだに100億円、UNIXは150億円で、計250億円の規模を持つ。今回の製品ライフサイクル延長でメインフレームなどが持つ市場を取りたい」と話している。

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