レッドハットは1月25日、仮想化環境管理の新版となる「Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)3.0」の国内での提供を開始した。Linux標準の仮想化技術「KVM(Kernel-Based Virtual Machine)」と、サーバやクライアントの仮想化管理ツールの機能を拡張したという。
RHEVは、ホストとゲストの両OSを集中して管理するコンソール「Red Hat Enterprise Virtualization Manager(RHEV-M)」とRHEV-Mが管理するための専用のハイパーバイザ「Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor(RHEV-H)」で構成されている。
RHEV 3.0のRHEV-Mはオープンソース化され、実行環境はWindowsではなく、同社の企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」になっている。またRESTful APIでRHEVの機能をサードベンダー製の運用管理ソフトウェアで連携させることが可能になっている。
セルフサービスプロビジョニング機能「Power User Portal」を活用することで、RHEVの管理者ではなく、仮想マシン(VM)を利用するユーザー自身でVMの作成や変更などができるようにもなっている。複数の管理者レベルを設定することで、クラスタ全体やホスト全体など柔軟な管理もできるという。
RHEV 3.0のRHEV-Hは、RHEL 6.2をベースにしたハイパーバイザとなり、カーネルスケジューラが改良されたほか、メモリ管理の拡張、ブロックI/Oの強化を図った。また、デスクトップ仮想化向けプロトコルである「SPICE」がWAN向けに改善されている。
RHEV 3.0では、LinuxとWindowsの両方のワークロードについて、バランスの取れた仮想化管理の機能や性能、拡張性を、競合製品の数分の1のコストで提供できることを強調している。OSSのハイパーバイザと管理ソフトウェアで、競合するプロプライエタリな製品のようにロックインすることなく、オープンで相互運用可能な環境を提供できると説明している。
RHEV 3.0ではまた、管理システムがRHEL上のJavaアプリケーションサーバ基盤「JBoss Enterprise Application Platform」で動作するJavaアプリケーションになっている。Power User PortalやRESTful API、ローカルストレージなど1000以上の機能の追加、強化改善がなされているという。クラウドが求める厳しい要件に対応できるように、リソースを共有してシンプルかつ柔軟に管理を行える、安全で拡張性の高い環境を実現できるように設計されており、クラウド基盤の信頼性と汎用性の高い基盤を提供できると、そのメリットを強調している。