レッドハットは3月30日、2011年度(2010年3月〜2011年2月)の事業方針と戦略に関する説明会を開催した。同社は、事業拡大に向けた戦略として、パートナー事業の強化、クラウドおよび仮想化ソリューションへの注力、SOA(サービス指向アーキテクチャ)とミドルウェア製品「JBoss」事業の拡大、顧客ベースの拡大の4つを掲げている。
パートナー事業については、パートナー企業向けにポータルサイトを開設し、レッドハットとパートナー企業が事業プランや案件を共有できるようにする。また、国内のISVに対応する営業部門を新設したり、営業支援センターによる更新支援活動を強化したりする。
クラウドおよび仮想化ソリューションについては、仮想化製品「Red Hat Enterprise Virtualization」(RHEV)の新製品を投入する。すでにRed Hatは米国時間3月29日、仮想化デスクトップ「Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Desktops」ベータ版を提供開始している。WindowsとLinuxクライアントに対応し、仮想化サーバと仮想化デスクトップを同様のプラットフォームで管理できる。正式版は、2010年前半に提供する予定だ。
また、RHEVのサービスラインアップとして、Linux標準の仮想化機能「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」の使い方や特長に関する研修「KVMスタートアップサービス」(1人あたり1日4万円から)や、KVMやRHEVの導入を検討するユーザー企業に対して検証を支援する「仮想化技術ワークショップ」(4日間80万円から)、KVMやRHEVの導入を支援する「仮想化技術導入支援サービス」(5日間100万円から)を用意。また、KVMやRHEV導入後のユーザー企業に対してはコンサルティングサービス「仮想化技術コンサルティングサービス」を提供する。
レッドハット代表取締役社長の廣川裕司氏は、「KVMを駆使して、プロジェクトや開発ができる真のエンジニアを1000人規模に増加させる」とし、「2010年度は1億円に満たなかった売り上げを、1年から1年半で前年比10倍にしたい」と述べている。
SOAとJBossの事業の拡大に向けては、レッドハット内のコンサルタント数をこれまでの5倍にするほか、外部のコンサルタント会社10社と契約。プログラムやデータの移行、変換といったマイグレーションサービスを提供し、前年比2倍となる売り上げを目指す。
顧客ベースの拡大に向けては、ディストリビューターとのタイアップやレッドハット内の企業向け営業体制の強化により、レッドハットが把握できるエンドユーザー数を8000社から1万社以上に、受注件数を1万6000件から2万件にそれぞれ増加させるとしている。廣川氏は、「日本中をレッドハットのユーザーで埋め尽くしたい。レッドで染めたい」と意気込みを見せている。
レッドハットは4月1日、営業体制の強化に向けて、事業計画の策定と実行を担う専門組織「クラウド・仮想化事業本部」を発足する。営業とプリセールス部門の人員を45人から60人に増強するほか、営業部門をエンタープライズとパートナー、OEMの3体制にしてソリューション営業の強化を図る。