レッドハットがオープンソースをベースにした“オープンハイブリッドクラウド”への対応を着々と進めている。同社は1月28日、オープンソースのIaaS構築管理基盤ソフトウェア「OpenStack」に対応するプライベートクラウド基盤ソフトウェアの新版「Red Hat Cloud Infrastructure(RHCI)4.0」を発表した。
レッドハットは2013年、オープンハイブリッドクラウド環境を構築できる製品をリリースすると発表。今回の製品はその一環で「AWS(Amazon Web Services)を利用するよりも低価格でプライベートクラウド構築が可能となったという声もある」(レッドハット 常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長 纐纈昌嗣氏)という。
仮想化によるサーバ集約からプライベートクラウドへ
RHCI 4.0は、仮想化基盤の新版である「Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV) 3.3」、2013年11月から提供を始めている運用管理ソフトウェアの「Red Hat CloudForms(RHCF) 3.0」、「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHELOSP) 4.0」を含んでいる。RHELOSPは、同社の企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」に最適化されたOpenStackディストリビューション「Red Hat OpenStack」とRHELベースの「Red Hat Enterprise Server」が統合されている。
RHEV 3.3でデータセンターの仮想化、RHEV 3.3とRHCF 3.0で管理が最適化された仮想化、RHELOSP 4.0によってIaaS、全てがそろったRHCI 4.0でプライベートクラウドを実現すると説明している。
レッドハット 常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長 纐纈昌嗣氏
「プライベートクラウドを構築したという企業は多いが、実態としては従来のタイムシェアリングからほとんど変わらない状態であることが多い。われわれはセルフサービス、オーケストレーション、包括的な管理、互換性などを実現した真のプライベートクラウドを提供する」(纐纈氏)
RHEV 3.3は「マイナーバージョンアップだが、実質的な意味のある機能向上が実現した」(纐纈氏)。RHEV 3.3では新しいセルフホステッドエンジンを搭載することで、RHEVマネージャをホスト上の仮想マシンとして配備できるようになっている。これで必要とされるハードウェアが減少したという。バックアップ&リストア用のAPIとしてバックアップ基盤が追加され、サードパーティソフトウェアベンダーが仮想マシンのバックアップ/リストアを担うAPIを提供する。
仮想マシンイメージ管理サービスであり、オブジェクトストレージを管理できる「OpenStack Glance」と仮想ネットワークを管理する「OpenStack Neutron」をサポートすることで、仮想化されたデータセンターとプライベートクラウドの間で共通の基盤を使用できるようになり、仮想マシンテンプレートを保存したり、先進的なネットワークを構成したりすることが可能になっている。
2013年6月にRHEV 3.2向けのサードパーティプラグインフレームワークが発表されたが、現在までに「HP Insight Control Plug-in」「NetApp Virtual Console」「Symantec Veritas Cluster Server」との連携が実現している。
「価格性能比で比較すると、3年分の保守費用込みで比較しても、vSphereのほぼ半額を実現している」(纐纈氏)と低価格であることもアピールポイントとしている。
OpenStackとの連携では「昨夏にレッドハットとしてOpenStackにコミットしていくことを発表した際、OpenStackの成熟までには2年程度かかるのではと申し上げたが、予想よりも成熟のスピードが速い。2年もかからず成熟するだろう。日本でも利用事例が出ており、『AWSを利用してきたが、OpenStack導入でコストを大幅に下げることができた』と話すお客様も出ている」(纐纈氏)とOpenStackの成熟が進んでいることを強調した。
レッドハットでは、RHELOSPについて同社の企業向けソフトウェアのライフサイクル通りにリリースは6カ月ごとにグローバルなサポート、商用OpenStackパートナーエコシステム、OpenStackのトレーニングと認定試験の実施を提供する。サポート期間は、3.0は12カ月、4.0は18カ月としている。