サン・マイクロシステムズ主催のJava開発者会議「JavaOne Tokyo 2005」最終日となる11月10日、元Sun Microsystems社員でJavaエバンジェリストとして活躍していたMiko Matsumura氏が基調講演に登場し、Javaの10周年を振り返った。
Matsumura氏は現在、SOA(サービス指向アーキテクチャ)ソリューションを提供するInfravioにて技術標準化担当バイスプレジデントを務めると同時に、標準化団体OASISのSOA導入ブループリント技術委員会代表ともなっている。
講演にてMatsumura氏はまず、技術進化の歴史を振り返り、「新しい技術が登場した時には、過去を模倣することから始まる」と述べ、テレビが最初に登場した際には舞台のライブ劇場を別の画面に映すようなものだったと説明した。これをMatsumura氏はインターネットに置き換え、「インターネットが登場したばかりの時も、ブラウザで何をすればいいのか誰もわからなかった。インターネットは、単に本の紙の枚数が増えたものに過ぎなかった」と述べた。
- Matsumura氏がJavaの世界に入ったきっかけはTumbling Dukeだった
本の代わりに過ぎなかったインターネットだが、ハイパーリンクでページ同士がつながるようになった。また、Javaアプレットの登場で、紙から動く媒体へと進化していった。Matsumura氏は、JavaマスコットのDukeが側転するJavaアプレット画像を見た時、「インターネットが単なる紙でないことを実感した。また、そのソースコードのコンパクトさに驚いた。今後インターネットの世界そのものが転げ回るような変化が起こると確信した」と、当時を思い起こして語った。同氏がJavaの世界に飛び込む決心をしたきっかけは、このTumbling Dukeだった。
新しい技術を取り入れる際は、みな慎重になるものだ。JavaのエバンジェリストとなったMatsumura氏は1998年、Javaが安全だと示すために、Dukeの着ぐるみを着てバンジージャンプした時の映像を映し出した。「Javaの世界は危険に見えるが、そうではないとわかってもらうためのデモだった」とMatsumura氏は笑う。
現在Javaは幅広く受け入れられているが、Matsumura氏はJavaが受け入れられている重要な要素として、仮想化が実現したことを挙げた。「WindowsやLinux、Solaris、そして未来のユビキタスOSなど、JavaはすべてのOSやハードウェアなどをひとつのAPIで仮想化する。これは非常にパワフルなことだ」とMatsumura氏。同氏はまた、この仮想化は今後も進むとし、2006年下期にはAMDのデュアルコア、マルチコア製品やSPARCなどの主なプロセッサが仮想化技術をサポートするようになると述べた。また同氏は、Javaベースの技術仕様Jiniを使えば、コンピュータだけでなくネットワークも仮想化できるとした。
最後にMatsumura氏は、今後の世界について語った。「現在のネットワーク上には、OSがあり、その上にJavaのお陰でどこでも動く何百ものビジネスサービスが存在する。それがSOAの登場で、今度はシェアードサービスの新階層ができつつある」とMatsumura氏。同氏は、「SOAによってJavaを実装していないシステムでもJavaベースのシステムとつながるようになるが、Javaはダイナミックかつ安全で、アーキテクチャに依存せず、柔軟性がある。さらに"Write-Once-Run-Anywhere"という特長も持っており、開発者に愛されている。こうした利点から、今後はほとんどのSOAがJavaベースとなるだろう」と述べた。