IBMは、IT業界が長い間約束してきた「エンドユーザーによるプログラミング」を実現するために、「QEDwiki」と呼ばれるプロジェクトに取り組んでいる。
IBMのRod Smith氏(エマージングテクノロジー担当バイスプレジデント)は米国時間4月26日、PHP Web開発カンファレンスで、QEDwikiと、比較的軽量なアプリケーション記述アプローチであるスクリプティング言語に対する同社の思い入れについて話をすることになっている。
Smith氏によれば、QEDwikiは「Quick and Easily Done wiki」の略であり、その背後にあるアイデアは、普通のビジネスマンでもコンポーネントをパレットにドラッグ&ドロップするだけで、独自のウェブページを開発できるようにすることだという。
QEDwikiを使うことで、例えば「ダッシュボード」を構築し、小売店舗の販売に対して天気が与える影響をチェックすることができる。また、地図サイトや天気サービスサイトなど一般向けのウェブサイトから情報を収集し、コンテンツ中心のとても有用なアプリケーションをつくることも可能だとSmith氏は述べている。
「エンタープライズマッシュアップというこのアイデアには、IT企業から多くの関心が寄せられている」とSmith氏は述べ、「まったく突然に、われわれの目の前に新たな世代のアプリケーションが出現してきた」と付け加えた。
いくつかのウェブ関連技術--RSS(Really Simple Syndication)、 XML(Extensible Markup Language)、協働型ウェブサイトの「Wiki」--などを企業が採用する例がますます多くなっている。
Smith氏によれば、JavaやCOBOLのような業界向けの言語を長い間支持してきたIBMは、比較的寿命が短く、迅速な開発が要求されるアプリケーション用のソフトウェアやサービスのために、これらの技術に投資しようとしているという。
QEDwikiは、プロのプログラマーの助けを借りずにウェブアプリケーションを開発したい人々を対象としたもので、RSSやAtomフィード等によって公開された情報を収集、共有するために、AJAXによるスクリプティングと、サーバ上でのWikiを用いるようになっている。
Smith氏によると、より先進的な作業やカスタマイズを行いたければ、QEDwikiとともにPHP言語を使用することができるという。
プログラマーではなく、ビジネスマンが自らアプリケーションを構築する「アプリケーション・アセンブリ(組み立て)」というアイデアは昔から存在していたものの、そのビジョンが完全に実現されたことはないとIBMは述べている。
IBMは現在、同社の顧客とともにQEDwikiをテストし、こういった「5分でできるアプリケーション」や組み立てツールがどの程度手軽で有用かを見極めようとしているとSmith氏は述べている。
「『エンドユーザープログラミング』と言うと苦笑いを抑えきれない。これについては今まで誇大に宣伝され過ぎてきたし、誇張され過ぎてもいた」(Smith氏)
IBMはQEDwikiソフトウェアを、同社の「Alphaworks」ウェブサイト上で2006年中にリリースする可能性が高いとSmith氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ