日本オラクルは11月29日、ビジネス環境で発生するさまざまな事象(イベント)に対し、最適な処理を施すプログラムやサービスを駆動する「イベント駆動型アーキテクチャ」(EDA:Event Driven Architecture)というコンセプトに基づいた新スイート製品「Oracle Event-Driven Architecture Suite」(Oracle EDA Suite)を発表した。
日本オラクル 常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏は、EDAの重要性について、「システムの進化に伴い、入力方式も変化した。昔はパンチカードによる入力方式だったのが、インターネット時代の現代では人間が自分でデータ入力するようになった。今後ユビキタス化が進めば、RFIDなどのデバイスが自動的にデータを入力するようになる。そうなればデータ量が膨大となり、入力の正確さと自動化、スピード処理、処理の信頼性などが求められる」と説明する。
企業のリアルタイム性が求められる競争社会では、入力されたデータからイベントを感知し、そのイベントを分析した上でアクションにつなげる必要がある。例えば航空会社では、天候や顧客の予約状況、運休、遅延などのイベントを感知し、天候が悪い場合はフライトの再スケジュール、料金が他社より高くて予約が埋まらない場合は価格を設定しなおす、といった具合だ。
このようなEDAに必要な機能をパッケージ化したのがOracle EDA Suiteだ。Oracle EDA Suiteは、イベントとイベントパターンの定義や分析を行う「Oracle Business Activity Monitoring」、定義に対応してアプリケーション間でイベントを最適に配信する「Oracle Enterprise Service Bus」、RFIDなどの物理的センサーや自動化機器からのイベントのキャプチャ、フィルタリング、管理を行う「Oracle Sensor Edge Server」、設定可能なQoSに基づきイベントメッセージを配信する「Oracle Enterprise Messaging」、ルールエンジンで柔軟にイベントを配信する「Oracle Business Rules」が含まれる。
オラクルが特に強調しているのは、Sensor Edge Serverで利用可能なセンサーの種類だ。RFIDはもちろん、バーコードやプリンタ、電子マネー、温度、湿度、照度、振動、圧力、電光掲示板、電力線通信、GPSなどに対応している。また、新しいセンサーに対してはSDKを用いて追加開発も可能だ。三澤氏は、「他社製品の場合、RFIDに対応していることはあるが、これほど多くのセンサーに対応しているのはオラクルのみ。SDKがあることもオラクル製品の特徴的な点だ」とアピールしている。
EDAは、SOAとも密接に関連している。三澤氏は、「EDAはデータ収集とリアルタイム処理を行うための技術で、SOAは起こったイベントに対してサービスを連携させ、プロセス処理を自動化させるもの。つまり、SOAとEDAは補完関係にあり、両方をうまく連携させることで業務プロセスがより効率的になる」と説明する。「EDAとSOAを組み合わせて、SOA 2.0と呼ぶ人もいる」(三澤氏)
EDA Suiteは、1 CPUあたり750万円(税抜き)で、2007年1月9日より出荷される。EDAの提供にあたり、オラクルでは今後SOAパートナーやRFIDパートナーを中心にパートナー関係を強化する。三澤氏は、「まずはEDAというコンセプトを広めるためにも、2007年5月末までにリファレンスカスタマーを10社獲得したい」と述べた。