サン・マイクロシステムズが開催したMySQLの祭典「MySQL ユーザコンファレンス 2008」。基調講演の後半に登場した新生銀行は、パッケージソフトとオープンシステムを導入・開発する際に定めたドクトリンを示した。
短期間、低予算での基幹システム構築
基調講演に登壇した新生銀行 システム企画部 部長のPieter B. Franken氏は、MySQLの導入事例として、同社における基幹システムの再構築をどのように行ったかを紹介した。
新生銀行は、1998年に経営破綻した日本長期信用銀行(長銀)が、一時国有化を経て投資組合「ニューLTCBパートナーズ」に売却されたことにより、2000年に誕生した銀行。その際、基幹システムを1から作り直す必要があったが、期間は1年、低予算という極めて困難なプロジェクトだったそうだ。
そこで同社では、メインフレームと専用線という大手銀行システムの常識を打ち破り、パッケージソフトとオープンシステムの採用を決めた。開発に際しては最初に次のような原則を定め、これを遵守することで時間とコストの削減を実現したという。
- 決して使い勝手を変えない
- 自社開発はしない
- 専用線は使わない
- ユーザが使い易いものとする
- インターネットを利用した仮想組織を構築する
- 紙を減らし、電子イメージを多く使う
注目すべきは、オープンシステムを採用した上で、メインフレームによるテクノロジと同等のシステムを実現している点である。もちろんそこにはMySQLをはじめとしたオープンソースソフトウェアも活用されている。MySQLのデータベースには約2万5000社のデータが格納されているとのことだ。そのほか、トータルで約25のプロダクトが使われているという。
新生銀行によるMySQLの導入事例の詳細は、MySQL.comにおいて公開されている](ユーザ登録が必要)。日本語版も近日中に公開される予定とのことである。