筆者は「JavaOne Conference」にほぼ毎回参加しているが、このイベントは過去に何回か成功と停滞を繰り返している。この2年間のJavaOneは再び意義深いイベントになっているように思われる。多くの人々の考えに反して、Javaは筆者が予測していたよりも活況を呈している。しかし、最も興ざめだったのは主催者であるSun Microsystems自身であり、Sun内部では相変わらずマーケティング部門と戦略部門の意思疎通が不十分のようであり、その結果、プロジェクトの方向性についてユーザーに統一的なメッセージを伝えられていない。
良かった点は、いまだにJavaに情熱を傾けている多くの開発者に出会ったことであり、また展示会場にはこれまで聞いたことがない多くの新しい企業がブースを構えていたことである。
Javaはいまだに企業に好まれている言語なのである。たとえLAMPが台頭しても、Javaは相変わらず重要であり、主要な企業(少なくとも「Microsoft .NET」を採用していない企業)のIT世界では幅を利かせている。WindowsでさえオープンソースJavaアプリケーションは高い人気を誇っている。一例として、JBossのデプロイメントのゆうに50%はWindows上で展開されている。
それにもかかわらず、これまで2〜3年に筆者がSunから受け取ったメッセージを要約すると、「いつの日か、あなたはモバイル機器を持つようになるし、そこではJavaが動くようになるだろう。それはすばらしいことに違いない」というものだ。「JavaFX」はある程度は前途有望と思われるが、せっかくイベントに1万5000人もの企業のコンピュータマニアを集めるのなら、Sunは何かもっとすばらしいもので参加者の注目を集めることもできたはずだ。Cote氏は2日目に「ZFS」を使って何か魅力的なデモをしたと述べていたが、筆者の友人たちは、初日の基調講演がさえなかったので(Neil Young氏の講演を除く)2日目の基調講演には誰も出席しなかった。
Sunのオープンソースイニシアチブについて。筆者はいくつものソフトウェアプロジェクトを見て回り、何人かのSunの社員とオープンソースや戦略について話をしたが、ほとんどの人はそれについて理解していなかった(補足情報:講演でデモや説明をした人の中には本当に優秀な人物もいた)。MySQLによる混乱も加わって、Sunでは問題を完全に整理しきれていないのが明白だ。
さらに「オープンソースで構築されている」が「オープンソースではない」数多くのSunのソフトウェア製品が存在する。1つの例は「JCAP」である。これは3億8700万ドルを投じたSeeBeyond買収から引きずっているみじめな残がいである。SunはJCAPコネクタをOpen ESBに移植し、すべてを「NetBeans」に組み込んで製品をクローズドソース化した。この行為は突飛であるばかりでなく、愚かであり不誠実である。
最後にハードウェアはどこにあるのか。筆者はこれがJavaOneのカンファレンスであることは承知しているが、Sunの売上高のかなりの割合はハードウェアに由来しており、Sunのハードウェアはどこか別の場所で実際に触れて確かめてみることができるのだろうか。Sunはマシンを持ち込んで、人々が動作を確認し、なぜJavaアプリケーションはSunのマシンで動作させた方がうまく動くのかといった話題について話ができるようにすることも簡単にできたはずだ。筆者の考えではこれによってSunは大きな機会を逸した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ