IDC Japanは3月4日、2007年通年の国内PC市場実績について発表した。発表によると、2007年の国内PC出荷台数は前年比1.0%減の1414万台となった。家庭市場は前年比2.6%の増となったが、ビジネス市場は買い替え需要の谷となり同3.1%減となった。
2007年の家庭市場は、Windows Vistaの発売もあって特にポータブルPCに需要が戻った。しかし、薄型テレビの低価格化がデスクトップの需要に影響を与え、家庭市場は546万台、前年比2.6%増と若干のプラス成長にとどまった。
ビジネス市場では前年比3.1%減の867万台と、2年連続のマイナス成長となった。ただし、2007年第4四半期のビジネス市場は前年同期比9.1%増であり、5四半期ぶりにプラスに転じている。
ベンダー別では、2006年と比べて上位10社の中では順位の変動はなかった。2007年の国内PC市場では、上位10社のうち富士通、HP、アップルが前年比プラス成長となり、シェアも伸ばしている。なかでも2位の富士通は、2007年第4四半期に前年同期比で30.7%増と非常に高い成長をとげ、2007年第4四半期だけで見るとシェアにおいて1位となっている。
その他のベンダーはマイナス成長となった。このような状況のなか、これまでシェア重視であったベンダーも収益を重視する傾向がでてきている。得意とするセグメントに投資するなど、選択と集中が行われつつあるため、2008年はベンダーごとに民間、官公庁などのセグメント別の棲み分けがますます鮮明になるとしている。
2007年の国内PC市場ベンダー別出荷台数では、1位が286万5000台でNEC(シェア20.3%)、2位が264万7000台で富士通(同18.7%)、3位が197万6000台でデル(同14.0%)、4位が127万台で東芝(同9.0%)、5位が108万1000台で日本HP(同7.6%)となっている。
2008年の国内PC市場について、IDC JapanのPCsシニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は「対前年比2.9%増の1455万台を見込んでいる」としている。
家庭市場では「3%前後のマイナス成長」(浅野氏)としており、これは阻害要因として「北京オリンピック開催で、需要がテレビ購入に向けられるため」(同氏)だ。オリンピックやサッカーのワールドカップなどの大きなスポーツイベントが開催されるとPCの売り上げが落ち込むことはよくある傾向と説明している。
一方のビジネス市場について、「7%前後のプラス成長」(同氏)と家庭市場とは対照的に増加傾向だ。浅野氏は「大企業や中堅中小企業(SMB)でのPC買い替えサイクルが需要を喚起するため」とその理由を説明している。
これらの変動要因として、浅野氏は「EeePCなどに代表される低価格製品による需要喚起の可能性がある」としている。