ネットスイートが日本法人を設立--日本代表に元マイクロソフトの東貴彦氏が就任

山下竜大(編集部)

2006-03-08 18:59

 カリフォルニア州サンマテオに本拠地を置くオンデマンドビジネス管理ソフトウェア企業であるNetSuiteは3月8日、100%出資の日本法人「ネットスイート株式会社」を設立することを発表した。同社は現在登記中で、日本代表にはマイクロソフトで要職を務めていた東貴彦氏が就任する。

 NetSuiteは、1998年10月にOracle Corporationの最高経営責任者(CEO)であるLarry Ellison氏と同じくOracleの社員だったEvan Goldberg氏(現NetSuite最高技術責任者)が設立したサービス型ソフトウェア企業。中小規模企業向けのCRM、ERPおよびEコマースアプリケーションをインターネット経由でサービスで提供する「サービス型ソフトウェア(Software as a Service:SaaS)」モデルを実践している。

NetSuite社長兼最高経営責任者(CEO)のZach Nelson氏。

 CRM、ERP、Eコマースで構成される統合ビジネススイートである「NetSuite」は、商品の販売から在庫引き当て、発送、決済、請求書送付までの一連のプロセスを網羅したSaaSモデルのビジネスアプリケーション。ビジネスに必要な機能をすべて搭載しているのはもちろん、最新のブラウザ技術であるAJAXを採用したダッシュボードにより、高いリアルタイム性と視認性の使いやすいインターフェースが特長となっている。

 すでに全世界に7000社以上の顧客を持っており、日本でも、東京に本拠を置き、インド、韓国、米国にオフィスを持つソフトウェア企業であるアゾラ テクノロジや、同じく東京に本拠を置き、アジア各国で金融サービスを展開するメイヤー アセット マネジメント、Moleskine製の手帳をアジア各国に販売展開しているカファなどが、すでにNetSuiteを採用している。

 来日したNetSuiteの社長兼最高経営責任者(CEO)であるZach Nelson氏は、「将来的には、ほとんどのソフトウェアビジネスがサービス型に移行するだろう。すでにサービス型ソフトウェア市場の成長率は、パッケージ型ソフトウェア市場の4倍になっている。中でもERPとCRMは、高成長の分野だ」と話す。

 同氏はさらに、「SaaSモデルを導入することで、ソフトウェアライセンスの購入やシステムの導入、構築、メンテナンス、アップグレードが不要なことはもちろん、IT要員も不要なため、パッケージアプリケーションを導入するより低コストでアプリケーションを利用できる」と話している。

ネットスイートの日本代表に就任した東貴彦氏。

 また、日本代表の東氏は、「NetSuiteの最大の特長は、情報をひとつのデータベースに蓄積し、さまざまな切り口で有効に利用できる仕組みをていきょうできること。これまで、実現が難しかった中小規模の企業向けの最適なソリューションを提供できる」と話している。

 さらに日本市場におけるビジネス展開について東氏は、「2006年中にまず15人程度の体制を確立する計画。当初は、社員を増やすのではなく、テクノロジパートナーやサービスパートナー、販売パートナーなどに向けたパートナー戦略を強化していきたい」と話している。

 NetSuiteの価格は、「NetSuite CRM」が1ユーザーあたり95ドル、ERPとEコマースの一部機能を提供する「NetSuite CRM+」が1ユーザーあたり130ドル、1ユーザーライセンスを含む「NetSuite」の基本価格が600ドル、追加ユーザーライセンスが1ユーザーあたり100ドル、1ユーザーライセンスを含む「NetSuite Small Business」軒本価格が105ドル、追加ユーザーライセンスが1ユーザーあたり50ドルとなる。

 たとえば、NetSuite CRMを10ユーザー分購入した場合は月額1万1400ドル、NetSuiteを10ユーザー分購入した場合は月額1万8000ドルとなる。

 日本では当面、「NetSuite」「NetSuite Small Business」「NetSuite CRM」「NetSuite CRM+」のインターナショナルバージョンを販売する。その後、日本語機能や決済機能、携帯電話対応、日本版テンプレートなどの機能したサービスを2006年6月ごろより提供する計画。なお、「NetERP」の提供は、2007年第2四半期より開始される予定となっている。

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