5月14日、「富士通フォーラム2010」において、米Salesforce.com(セールスフォース)の会長兼最高経営責任者である、Marc Benioff氏が「Cloud Computing&Collaboration」をテーマに講演した。富士通とSalesforce.comは、クラウドの導入に関するグローバルでの包括的な協業を5月12日に発表したばかりだ。
Benioff氏は、「Cloud 2」とも呼べる新たな世界へとクラウドが進化していることを示し、「これは単にエンタープライズアプリケーションがクラウドに名前を変えただけではない。また、別のデータセンターへとデータを移動させただけのものでもない。アプリケーション、プラットフォーム、ソフトの開発の仕方、サービス、コラボレーションの方法といった、すべての要素が変化するものであり、今こそ、その大きな変化のなかにある」と語り、その具体的な事例として、同社が6月にも提供する予定の「Chatter」をデモしてみせた。
Benioff氏は、「IT業界の進化や変化は驚くほど速い」と前置きし、「いま重要な変化が訪れている」とした。同氏が指摘したのは、2009年に「電子メール」のユーザー数を「SNS」のユーザー数が上回ったという変化。また、Facebookのユーザー数が5億人に達し、これが3年で10億人に到達するだろうと予測されている点だ。
「もはや、インターネットの利用方法において、検索は重要なものではなくなっている。そして、10億人のユーザーが、同じアプリケーションを共有して利用するということを、これまで誰が考えただろうか」(Benioff氏)
また、インターネットに接続するデバイスは、ノートPCやデスクトップPCよりも、スマートフォンなどの新たなデバイスが中心となっており、これが今後も増加していくことを示す。
「使い方が明確に変わってきている。アマゾン・ドットコムやグーグル、イーベイを“Cloud 1”の時代とすれば、YouTube、Twitter、Facebookの使い方は“Cloud 2”と呼ばれる時代のものである。私は1999年に、なぜビジネスソフトウェアはアマゾン・ドットコムのように簡単に使えないのかと問題提起したが、2010年は、なぜビジネスソフトウェアはFacebookのように簡単に使えないのかということが私の問題提起になる」とした。
Cloud 2の世界では、サービスは「プッシュ型」となり、端末にはiPadのようなタッチ型の端末が使われる。また、スマートフォンやタブレットPCなどのモバイル用途に適した機器が増えていくという。そしてBenioff氏は、「日本は3G携帯電話の普及、ミクシィに代表されるSNSの普及、電子商取引の利用といった点で世界に先駆けており、Cloud 2の世界をリードしていくことになる」と予測した。