日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は5月31日、都内ホテルにおいて「ITカオスからの脱却 〜5つの課題解決がビジネスを加速する〜」をテーマとしたカンファレンス「HP WORLD Tokyo 2006」を開催した。同カンファレンスは、明日6月1日まで開催される。
オープニングのステージに登場した日本HPの代表取締役社長である小田晋吾氏は、「個人情報保護法や日本版SOX法への対応、経営の可視化、セキュリティ、企業買収など、企業の経営者は、昨年にも増して多くの経営課題を抱えている。2006年は、まさに“カオス(混沌)の時代”であり、何を優先し、いかに実現していくか、そのための解決策をHPが提供する」と話す。
日本HPでは、顧客企業が変化に適応し、ビジネスの価値を向上するためのアプローチを“5C”と定義している。5Cは、「Continuity(事業継続性)」「Consolidation(統合)」「Compliance(法令遵守)」「Control(管理)「Collaboration(連携)」の頭文字に由来している。
HP WORLD Tokyo 2006では、この“5C”のアプローチにより課題を解決するために必要な最新のテクノロジやソリューションをパートナー企業と共に紹介する。小田氏は、「我々は、“5C”のアプローチで課題の解決を目指している企業経営者の期待に応え、それ以上の価値を提供できる製品やサービスを提供することを約束する」として挨拶を終えた。
小田氏に続き、基調講演に登場したのは、Hewlett-Packard(HP)のITインフラストラクチャ&オペレーションズ担当副社長であるPete Karolczak氏が登場。「ビジネスを加速するHPのIT変革の戦略」をテーマに講演した。
HPでは、2001年9月のCompaq買収や2005年4月のMark Hurd氏のCEO就任などにより、ここ数年大きな変革を続けている。Karolczak氏は、「HPに20年以上、勤務しているが大きな変革を経験してきた。この変革は、2008年に一応のゴールを迎える予定だが、ここで得た経験やノウハウは、顧客に還元していくことになるだろう」と話す。
同氏は、「HPの変革のポイントは、ITのシンプル化であり、そのためにはITコンソリデーション(統合)戦略が重要になる」と話し、「ポートフォリオ管理」「組織/従業員統合」「アプリケーション&インフラ統合」「データセンター変換」の4つの統合戦略を紹介した。
このような取り組みによりHPでは、すでに多くのITシステムを統合し、コストの削減に成功しているという。
たとえば、これまでHPには複数の国に独自の人事管理(HR)システムが存在しており、国ごとに違う人事プロセスが実行されていた。しかし、詳しく調べてみると、90%のプロセスは共通化が可能であり、ひとつのデータセンターで8つのPeopleSoft 8システムを稼働させることですべてのHRシステムを統合。HRシステムに関わるITコストを500万ドル削減したという。
また、メールシステムでは、293台のMicrosoft Exchangeサーバが、94サイトで稼働していた。これを100台以下のExchangeサーバに統合し、3つのサイトで稼働させ、さらにそれぞれに管理されていたストレージシステムをSANに移行。これにより60人以上が必要だったシステムの管理を25で実現できるようになっている。
さらに、データウェアハウス(DWH)では、762以上のデータマートと複数のクエリツールを使用していたが、ひとつのDWHとクエリツールに統合。これにより複数のプラットフォームと3000台以上サーバが必要だったシステムを、ひとつの標準プラットフォームによる3台のサーバ上で、ひとつのDWHを管理すればよい環境を実現している。
Karolczak氏は、「IT統合は容易なことではない。しかし実行するときには迅速に行わなければならない」と話している。